鷺の停車場

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「リズと青い鳥」「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」@EJアニメシアター新宿

先日、EJアニメシアターに行きました。

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ここは、昨年、まだ「角川シネマ新宿」だったときに一度来たことがありますが、昨年12月にEJアニメシアターとしてオープンしてからは初めてです。

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この映画館では、7/18(木)に発生した京都アニメーションの放火事件のすぐ後の7/23(火)、京都アニメーション制作6作品を8/9(金)から週替わりで上映することを公表していました。8/9(金)~8/15(木)、8/16(金)~8/22(木)にハイ☆スピード4作品を2作品ずつ、8/23(金)~8/29(木)に「リズと青い鳥」「響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」の響け!ユーフォニアム2作品の上映でした。

あの放火事件の後、スクリーンで京アニ作品を観るのは初めて。「リズと青い鳥」をスクリーンで観られる機会はもうなかなかないだろうと思って、「誓いのフィナーレ」も合わせて観に来たのです。青春ブタ野郎ももう一度観たい気もありましたが、そこまで時間を作ることができず断念。

この日のすぐ前、あの事件で犠牲になった35人全員の氏名が明らかにされました。公表を望まない遺族も少なくない中で、警察の判断で公表したことについては、いろいろ議論があるでしょうし、私自身も単純に良し悪しの判断がつきませんが、その多くは、映画やテレビアニメのエンドクレジットで名前が出ていたであろう方々、クレジットを見るたび、このうち誰が亡くなってしまったのだろうと気になっていたのも事実。
家にある「リズと青い鳥Blu-rayに付いているブックレット巻末に掲載されているキャスト・スタッフの氏名を、報道された犠牲者の氏名と照らし合わせると、35人の犠牲者のうち少なくとも25人ほどの名前がそこにありました。原画に10人、動画に5人、作画監督に3人・・・。入社されてまだキャリアが浅かったであろう20代前半の方を除くと、ほとんどの方がスタッフとして名を連ねておられました。

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パンフレットは、「リズと青い鳥」は販売なし、残り2作品も売切れになっていました。

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館内のドリンクなどの売店メニュー。

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スクリーンは300席のシネマ1のみです。

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まず、「リズと青い鳥」を鑑賞。

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スクリーンは300席。お客さんは半分弱くらいという感じでした。

本作は、事件後、Blu-rayでスタッフコメンタリーなどを何度も観直していたのですが、スクリーンで観るのは、6月初めに丸の内ピカデリーで行われた特別上映会以来。あの時も、「誓いのフィナーレ」とセットで観たのですが、その日は3年生編の制作決定が発表された直後、本作の上映後と続く「誓いのフィナーレ」の上映前に、それぞれ主要キャストの舞台挨拶も行われて、会場全体がお祝いムードに包まれていました。今回は、そのときとは打って変わって、事件で失われてしまったものを悲しみ、再起を祈るような雰囲気を感じます。
本編が始まって、校門から音楽室まで希美とみぞれが歩いていくシーンで、キャラクターデザイン・作画総監督として亡くなられた西屋大志さんの名前が表示されるのを見て、さっそく目頭が熱くなります。やはり、普段どおりの気持ちで観ることはできないな、と実感します。それでも、前回は前の人頭がチラチラスクリーンにかぶって見にくかったのですが、今回はそのようなこともなく、最初から集中して観ることができました。観ているこちら側の気分のせいなのでしょうけど、希美やみぞれなどの些細なしぐさや振舞いで表現される心情の揺れ動きが、これまで以上に切なく刺さる感じがしました。
また、コメンタリーを見たこともあって、例えば、冒頭の校門のシーンで、みぞれが希美を見つけたとたんに鳥がにぎやかに鳴き出すとか、何となく見ていては気付かない、コメンタリーで触れられた音や色彩の変化がよく分かります。細かいところまで繊細に作り込んでいるから、些細なしぐさでも心に刺さるのだと改めて思いました。万人向けではないですが、やはり凄い作品です。
エンドクレジット、いつもであれば名前の羅列が通り過ぎていくのを漫然と眺める程度なのですが、やはり一つ一つの名前を追ってしまい、また目頭が熱くなりました。

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リズと青い鳥」の終映後、30分ほどの間をおいて、「誓いのフィナーレ」を鑑賞。こちらは、さらにお客さんが増えて、200人くらいは入っていたと思います。
丸の内ピカデリーで観たときには、「リズ」終映から本作の本編上映までは1時間半以上間があって、間に舞台挨拶も2回はさまっていたのですが、この日は予告編を入れても40分程度、「リズ」とのリンクが前回以上に強く感じられて、終盤のコンクールでの圧巻の本番シーンや、その後の吉川部長の振舞いには涙がこぼれました。クレジットはやはり名前を追いながら目頭が熱くなり、本編の終了後には拍手も起きました。
ところで、両作ともにモブ(群衆)にとどまることなく出ているのは、先生・コーチ陣を除くと、部長の吉川優子(山岡ゆり)と副部長の中川夏紀(藤村鼓乃美)の3年生2人、そして2年生トランペットの高坂麗奈(安斉知佳)。特に本作では低音パート1年生の人間関係に重点が当てられているので、ユーフォニアムである中川夏紀もその人間関係に巻き込まれる形で重要な役回りを担っています。両作を続けて観ると、本作で描かれたように、本番メンバーを目指して練習に打ち込み、パート内の人間関係のもつれに対処しながら、そして「リズ」でも描かれた副部長としての役割を果たし部長を支えるなんて、実はすごい人、と改めて思いました。