シネマート新宿に行きました。
映画館は、新宿三丁目駅からすぐ、伊勢丹本館そばの新宿文化ビルにあります。同じビルに入っているEJアニメシアター新宿(旧:角川シネマ新宿)には来たことがありましたが、この映画館は初めてです。
この日の上映スケジュール。
観たのは、映画「ばるぼら」(11月20日(金)公開)。映画情報サイトでの実際に観た人の口コミ評価を見て気になって、行ってみた作品。イオンシネマを中心に全国79館での公開のようで、都内では10館ほど上映館がありましたが、その中では比較的行きやすい場所、時間的にも都合が良かったこの映画館に来た次第。
上映は333+2席のスクリーン1。一般的なシネコンのスクリーンと比べると、箱の横幅の割にはスクリーンが小さめで、傾斜も緩く見上げて観る感じのスクリーンです。お客さんはざっと見た感じ、40人ほど入っているようでした。
1973年から1974年にかけて「ビックコミック」に連載された手塚治虫の同タイトルの大人向け漫画を、息子の手塚眞の監督・編集で実写映画化した作品。
公式サイトのストーリーによれば、
芸術家としての悩みを抱えながら、成功し、名声を得、それを失い、破滅していく人気小説家-美倉洋介。
アルコールに溺れ、都会の片隅でフーテンとして存在する、謎の少女-ばるぼら。
ある日、美倉洋介は新宿駅の片隅でホームレスのような酔払った少女ばるぼらに出会い、思わず家に連れて帰る。大酒飲みでだらしないばるぼらに、美倉はなぜか奇妙な魅力を感じて追い出すことができない。彼女を手元に置いておくと不思議と美倉の手は動きだし、新たな小説を創造する意欲がわき起こるのだ。彼女はあたかも、芸術家を守るミューズのようだった。
その一方、異常性欲に悩まされる美倉は、あらゆる場面で幻想に惑わされていた。ばるぼらは、そんな幻想から美倉を救い出す。魔法にかかったように混乱する美倉。その美倉を翻弄する、ばるぼら。いつしか美倉はばるぼらなくては生きていけないようになっていた。ばるぼらは現実の女なのか、美倉の幻なのか。狂気が生み出す迷宮のような世界に美倉は堕ちてゆくのだった・・・。
というあらすじ。
主要キャストは、
- 主人公の人気小説家・美倉洋介:稲垣吾郎
- 洋介が出会う謎の少女・ばるぼら:二階堂ふみ
- 洋介の同期の小説家・四谷弘行:渋川清彦
- 洋介の秘書役を進んで務める女性・甲斐加奈子:石橋静河
- 洋介の彼女・里見志賀子:美波
- 志賀子の父の政治家・里見権八郎:大谷亮介
- 洋介を誘惑するブティック店員・須方まなめ:片山萌美
- 洋介がばるぼらに連れられて行った酒場のステージで歌う歌手・紫藤一成:ISSAY
- ばるぼらの母・ムネーモシュネー:渡辺えり
など。
耽美的な映像、ジャズを中心とした音楽もあいまって、実際の街角のシーンでも、どこか現実離れした空気が漂っていて、なんとも言えない退廃的な雰囲気に引き込まれる作品でした。破滅的な結末に至るのだろうと予想したとおりの展開ですが、そこに立ち上る美しさ・狂気がうまく表現されていると思いました。原作マンガは未読ですが、少年向けに健全な作品を描いた手塚治虫の裏の一面を見たような感じがあって、ジャンルは違いますが、「怪人二十面相」シリーズで子ども時代に親しんだ江戸川乱歩の大人向け作品(思いつくまま挙げると、芋虫、空気椅子etc)を読んだときの感覚を思い出しました。
主演2人をはじめとする俳優陣も好演。特に、二階堂ふみは、連続テレビ小説「エール」(私自身はほとんど見ていませんが…)とは全く違う、ヌード、ラブシーンも少なからずある役を真っ向から演じていて、こういう役柄も厭わない女優さんなのだと思いを新たにしました。