鷺の停車場

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映画「静かな雨」舞台挨拶付き上映

映画「静かな雨」(2月7日(金)公開)を観に行きました。

一昨年に観て強く印象に残った「四月の永い夢」の中川龍太郎監督の作品。昨年末に観た「わたしは光をにぎっている」も悪くなかったので、本作も観るつもりになっていました。全国14館での公開、後日上映開始予定の映画館を加えても23館と、かなり小規模な上映なので、早く行かないとすぐに観れる機会を逸してしまう気がして、私にとっては比較的珍しく、公開初週の週末に行くことにしました。

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行ったのはMOVIX三郷。首都圏での上映は、新宿、大森、立川、横浜とここだけ、関東全体でも公開日からの上映は小田原、伊勢崎を加えた7館のみです。

この日はたまたまですが、上映後に中川監督ほかの舞台挨拶が行われる特別上映でした。料金の差なども考えると、自分的には普通の上映の方で良かったのですが、都合が一番いい上映時間がここでした。他の映画館での舞台挨拶付き上映は発売早々に完売していたようなので、席が残っていたのはラッキーだったのかも。

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この日の上映スケジュール。

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上映は141席のスクリーン2。上映後に舞台挨拶が行われる特別上映とあって、最後列には空席がありますが、ほぼ満席です。

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(チラシの表裏)

映画化もされた2016年本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』の著者・宮下奈都のデビュー作で2004年文學界新人賞佳作に選ばれた『静かな雨』を原作に、中川監督自身が脚本を手掛けて映画化した作品。

公式サイトに掲載されているストーリーによると、

 

たとえ記憶が消えてしまっても、ふたりの世界は少しずつ重なりゆく
大学の研究室で働く、足を引き摺る行助は、“たいやき屋”を営むこよみと出会う。
だがほどなく、こよみは事故に遭い、新しい記憶を短時間しか留めておけなくなってしまう。
こよみが明日になったら忘れてしまう今日という一日、また一日を、彼女と共に生きようと決意する行助。
絶望と背中合わせの希望に彩られたふたりの日々が始まった・・・。

 

というあらすじ。

主人公の行助は仲野太賀、こよみは元乃木坂46衛藤美彩が演じています。衛藤美彩は映画初出演で主演を務めたのだそうです。
そのほか、行助が勤める大学の研究室の大学院生の斉藤真理:三浦透子、研究室の教授:でんでん、こよみが営むたいやき屋の屋台の客として登場する男子高校生・木村:坂東龍汰、同じく客として登場する酔っ払いの親父:村上淳、屋台を出しているパチンコ屋の店長:川瀬陽太、こよみの母:河瀨直美、こよみの元恋人・牧原貴志:萩原聖人、こよみが入院した病院の医者:古舘寛治といった俳優陣。

 

上映が始まって、舞台挨拶付き上映で観たことを後悔。作品自体には興味がなさげで、舞台挨拶を待つ追っかけらしき人がガサガサ物音を立て、スマホを開き、席を立っては戻ってくるのに閉口しました。後半になるとだいぶ物音は静かになりましたが・・・

 

さて作品は、これまでに観た中川監督の作品と同様、叙情的な映像、そして落ち着いた空気感は私好み。

次の日になると前日の記憶をなくしてしまうこよみとそれを見守る行助、2人がその運命を引き受けてともに歩んでいくことを決意するまでを落ち着いたたたずまいの中で描いていきます。

物語としての起伏はあまり大きくなく、前半は集中できなかったこともあってか、前に観た2作品ほどの感銘はありませんでしたが、心にしみる映画でした。

上映終了後、事前にアナウンスのあった主演の衛藤美彩と中川監督に加え、酔っ払いの親父役を演じた村上淳も登壇しての舞台挨拶。村上さんと衛藤さんが乃木坂ネタで盛り上がったといった話から、中川監督にとっては初めての原作ものだが、オリジナルものの作品との違いはあまり感じなかった、ただ、原作の文体と違わないように意識した、小説における文体は、映画では光だと思っているといった監督のお話、本編中で、酔っ払いの親父がたい焼き屋でこよみにチェキで撮った動物の写真を見せて語るシーン、チェキの写真に写っていたのは撮影前に村上が撮った中川監督の写真で、衛藤さんは笑うのをこらえるのが大変だった、といった興味深いお話を聞くことができました。

大ヒットするような作品ではないですが、もう少し上映が広がってもいい映画だと思います。