鷺の停車場

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香月美夜「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部 兵士の娘Ⅱ」

香月美夜の小説「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~」の第一部の第2巻「兵士の娘Ⅱ」を読みました。

テレビアニメ版の第1部・第2部を見て少し気に入ったので、原作も読んでみようと手にした作品。第1巻に続いて読んでみました。

単行本の表紙裏には、次のような紹介文があります。

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見知らぬ世界で、貧しい家の幼い少女マインに生まれ変わってから一年。彼女は本が大好きにも関わらず、手に入れるどころか、読書さえ難しい中、本作りに追われる毎日だった。何とか文字を書き残すべく奮闘するも失敗続きで前途は多難。おまけに「身食い」に侵されて寝込んでばかり。持ち前の頑張りで、お金を稼ぎつつ、近所に暮らす少年・ルッツの助けもあって、ようやく本格的な「紙作り」が始まるが……さて、一体どうなるやら?

本好きのための、本好きに捧ぐ、ビブリア・ファンタジー第2章!書き下ろし番外編、2本収録! 

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本巻は、プロローグ・エピローグと見出しで区切られた21節からなり、紹介文にあるとおり、巻末に番外編2編も収録されています。各節のおおまかな内容を紹介すると、次のようなあらすじです。

 

プロローグ

マインがルッツを父親の同僚に紹介すると聞いた母親・エーファと姉・トゥーリが、昼食の準備をしながら、マインのできることが増えたと話をする。

和紙への道

会合を終えて家に向かうマインは、本が目前に迫っていると興奮するが、紙に必要な材料や道具の話になって、現実に戻される。家に帰って、紙作りに必要な道具を書き出し、まずはオットーから釘を手に入れることにする。

オットー宅からのお招き

作ったシャンプー「簡易ちゃんリンシャン」と交換に釘をもらうことになったマインは、招待を受けてオットーの家に行き、妻・コリンナの髪をシャンプーで洗い、大量の釘をもらって帰路につく。

ベンノの呼び出し

ルッツと蒸し器の簀桁を作り始めたマインだったが、帰りに会ったオットーから、ベンノからの招待状を渡される。翌日ベンノの店・ギルベルタ商会に行ったマインとルッツは、オットーに相談したことを咎められ、簡易ちゃんリンシャンに関する権利をベンノに譲る代わりに、紙に必要な材料や道具を準備してもらう契約を結ぶことになる。

契約魔術

従業員のマルクに教わって、発注書に必要な道具や材料を書き出すマイン。発注書を書き終えたマインとルッツは、戻ってきたベンノと契約魔術を交わす。その帰り、ルッツは、「お前、マインだよな?なら、なんで、あんな話ができるんだ?」と言われてしまう。

ルッツの最重要任務

ルッツがマインの正体を不審に思っていることに気づいたマインは、不審がられる行動はルッツがいない間になるべくやっておこうと一人でベンノの店に行き、マルクの手伝いで材木屋に向かうが、気を失ってしまう。ベンノはマイン一人での入店を禁止し、ルッツにマインの体調管理の役割を命ずる。

このあたりまでが、テレビアニメ版の第7章「不信感の芽生え」に対応する部分になっています。

材料&道具の発注

マインは、マルクが用意してくれた倉庫に、材料や道具を揃えていく。材料が全て揃って、紙が作れそうになった時には、ベンノと初めて会ってから1月半が過ぎていた。

紙作り開始

紙作りを始めるマインとルッツは、鍋と蒸し器を持って森に向かう。マインがたまたま手にした赤い実は、とても成長が早く辺りの栄養を一気に吸い込んでしまうトロンベだったが、ルッツたちが成長する前に刈り取って事なきを得る。マインは刈り取ったトロンベを蒸してみる。

痛恨のミス

マインは紙作りを進めるが、ルッツと話しているうちに、「まかせて、したことあるから」と口にする痛恨のミスを犯してしまう。不審がるルッツは、何か言いかけるが、紙ができたら言う、と言いとどまる。その後何日か紙作りを進めた2人は、乾かせばでき上がり、というところまでこぎつける。そして、ルッツが話しはじめる。

ルッツのマイン

いきなり「お前、誰だよ?」と訊くルッツに、覚悟を決めたマインは、本当のマインは熱に食べられてたぶんもういないこと、自分が他の世界から来たこと、自分も熱に呑み込まれてしまうかもしれないことを明かす。話をした後、ルッツは、お前が消えてもマインは戻ってこない、それに、1年前からお前だったなら、オレの知っているマインはほとんどお前だ、だから、オレのマインはお前でいい、と言う。マインは、その言葉に、心の奥底で何かがカチャリとはまる。

紙の完成

最初に完成した試作品はトロンベで作ったもの以外は出来が良くなかったが、試行錯誤を続けた結果、比較的良い試作品が完成し、マインとルッツは、特別にトロンベで作った紙で作った折り紙も持って、ベンノに会いに行く。紙の出来に満足したベンノは、その紙を買い取り、2人を連れて商業ギルドに向かう。

このあたりまでが、テレビアニメ版の第8章「ルッツのマイン」に対応する部分になっています。

商業ギルド

商業ギルドに着いたベンノは、マインとルッツの仮登録を申請するが、ギルド長に呼び出され、血族でもない子どもを仮登録するのは、目的がはっきりしない限りは許可できないと言われるが、ベンノに指示されたマインがトゥーリに作った髪飾りを出すと、ギルド長の顔色が変わる。

ギルド長と髪飾り

ギルド長が孫娘のためにトゥーリが洗礼式で付けた髪飾りを探していると踏んでいたベンノは、孫娘のための髪飾りを優先的に作る条件をちらつかせ、仮登録を認めさせる。戻ったマインたちは、マルクから硬貨の種類を教えてもらい、紙の代金を受け取る。マインとルッツは、大銅貨は受け取り、小銀貨は商業ギルドに預けることにする。

ギルド長の孫娘

翌日、ギルド長の孫娘・フリーダと会うことになったマインとルッツ。フリーダは、マインが身食いではないかと指摘し、自分もそうだった、治すにはお金がかかると言う。フリーダの家に行った2人は、フリーダの希望を聞くが、髪飾りが2つ必要なことが分かり、結局2つ目を半額にして引き受けることになる。フリーダはマインを自分の家の店に引き抜こうとするが、ルッツの助力もあり、断る。

フリーダの髪飾り

フリーダから髪飾り用に深い赤の糸をもらって帰ったマインは、次の日、髪飾りのその他の糸を仕入れに糸問屋に行く。家に帰ると、髪飾りの花は母とトゥーリがほとんど作ってしまっていた。

髪飾りの納品

完成した髪飾りをベンノに見せに行ったマインとルッツは、ベンノと一緒にギルド長に会いに行くことになる。出来に満足したギルド長は、直接フリーダに渡してやってほしいと、馬車を用意し、みんなでフリーダの家に向かう。フリーダは髪飾りの出来に満足し、春になったら一緒にお菓子作りをする約束をする。

このあたりまでが、テレビアニメ版の第9章「ギルド長の孫娘」に対応する部分になっています。

冬の手仕事

小銀貨をギルドに預け、大銅貨を家に持って帰ったマインは、翌日、糸を受け取りにベンノの店に行く。髪飾り1つにつき中銅貨5枚をもらえることになったマインは、自分たちで手数料を取って、家族に作ってもらうことをルッツに勧める。マインも家に帰ってトゥーリや母に話をすると、2人とも乗り気になる。

ルッツの教育計画

熱が上がってベッドで3日を過ごすことになったマインは、ベッドでベンノから渡された新人教育の課程表を読み、冬の勉強計画を立て、春に向けて簀桁などを注文する。

失敗の原因と改善策

ベンノに簡易ちゃんリンシャンが同じようにできないと工房に連れていかれたマインは、失敗の原因が濾すための布だったことに気づく。ギルド長からマインが身食いだと聞いていたベンノは、身食いを何とかできるのは金だけだ、とリンシャンのノウハウを高額で買い取る。

トロンベが出た

オットーの手伝いに門に行ったマインは、子どもたちが向かった森でトロンベが出たことを知る。大人たちも退治に向かって無事収まるが、マインは戻ってきた子どもたちが刈り取ってきた使い道のない若い枝を紙の材料にするため貰い受けて集める。

早速作ってみた

家に帰って母とトゥーリに冬の手仕事の話を切り出すと、2人ともやる気になってすごいスピードで髪飾りを作り出し、現金の威力に驚くマイン。翌日、手に入れたトロンベを蒸していると、マインは突然熱に襲われるが、何とか押さえ込む。

マイン、倒れる

マインはルッツの家を訪れ、ルッツの兄たちに髪飾りの簪部分を作ってもらう約束をお取り付ける。身食いの熱の動きが活発になり、なるべく家の中で過ごすマインだったが、仕上がった髪飾りを持ってベンノの店に行き、新商品について話をしていると、マインは突然熱に襲われ、意識を失う。

エピローグ

ベンノは魔術具を持っているギルド長に連絡を取り、ルッツと馬車でマインを連れていく。

ここまでが本編。おおむね、テレビアニメ版の第10章「二度目の冬に向けて」までに対応しているようです。

巻末には番外編が2編。

コリンナの結婚事情

マインが作った髪飾りを見て驚くコリンナが、夫・オットーとの出会いから結婚までを回想するエピソード。

洗濯中の井戸端会議

母・エーファが洗濯に出かけた井戸で始まった井戸端会議で、マインの成長やギュンターとの結婚が話題になるエピソード。

 

(ここまで)

第1巻と同じように、専らマインの内面から描かれ、転生前の回想も多く出てくるので、テレビアニメ版よりマインは大人びている印象です。深刻な葛藤といった要素は少ないですが、マインがルッツに自分の正体を明かす「ルッツのマイン」の部分は、テレビアニメ版と同様、とても印象に残りました。