鷺の停車場

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武田綾乃「どうぞ愛をお叫びください」

武田綾乃さんの小説「どうぞ愛をお叫びください」を読みました。

どうぞ愛をお叫びください

どうぞ愛をお叫びください

  • 作者:綾乃, 武田
  • 発売日: 2020/06/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

武田綾乃さんの作品は「響け!ユーフォニアム」シリーズや「君と漕ぐ」の部活ものは読んでいましたが、その他の作品はどんな感じなんだろうと手に取ってみた作品。 2020年6月に書き下ろしで刊行されています。

発行元の新潮社のホームページには、次のような紹介文が掲載されています。

 

「ユーチューバーやろうぜ」。幼馴染の発した一言が、僕らの物語のはじまりだった。かくしてキャラの違いすぎる男子高校生4人がゲーム実況に参戦! 試行錯誤の末、人気実況者への道を歩き始める。だが、それとともに4人の間には不穏な空気が流れ始め、やがてある事件が勃発し――。リアル度&爽快度120%の最旬青春小説。

 

上の紹介文にあるとおり、中心となるキャラクターは、YouTubeにゲーム実況を投稿する男子高校生4人グループ。本の帯の紹介によると、タイトルの「どうぞ愛をお叫びください」とは、主に「愛ダサ」と略されるそのグループ名のようです。

帯には、次のような4人の紹介が載っています。

  • ばしょー(松尾直樹):ほとんどの動画の編集を担当。中性的な声が特徴で基本的に穏やかな性格。
  • ノブナガ(織田博也):グループのリーダー。明るい声と大きなリアクションが特徴。
  • 田村まろ(坂上明彦):やや低めの声と激しいツッコミが特徴。ゲームうんちくをスルーされがち。
  • そうせき(夏目拓光):他の三人より一つ年上。落語好き。実写動画では着流しを着用している。

 

全体は4章とエピローグで構成されています。ごく簡単にあらすじを紹介します。

第一話

高校1年生の松尾直樹は、幼馴染だが最近は疎遠になっていた同じクラスの織田博也から、突然ユーチューバーやろうと誘われる。松尾が編集した軽音楽部のPVを見て声をかけたが具体的なプランはない織田に松尾は、4人のメンバーを揃えてゲーム実況することを提案する。織田は、同じクラスの坂上明彦と、1学年上で軽音楽部の夏目拓光を誘う。夏目は、松尾が軽音楽部のPVで撮影したクラスメイト・本間佳代の彼氏だった。

第二話

YouTubeでのゲーム実況を始める松尾たちは、注目されるチャンネルにしようと試行錯誤する。松尾は、中学3年生のときに仲良くなり、今は違う学校に通っている桜田蛍の歌のPVを作ろうとしていた。

第三話

夏休み、松尾は中学校の時の塾講師で大学生の野口先生の紹介で、カフェを営む近藤を取材する。中学3年生の冬、織田の頼みで、彼が野口先生に宛てて書いたラブレターを桜田が歌にし、それを松尾が撮影したことがあった。それで織田は野口先生を射止めていた。その後、織田と夏目のゲーム実況の撮影をした松尾は、2人が帰った後、撮影した映像を編集して投稿すると、一気にアクセス数が伸び、200万再生を突破する。

第四話

一気に注目度が上がった松尾たちのYouTube。平均再生回数も15万回になり、ファンによる紹介ページもできるようになるが、この後どうしていくか考える松尾は、前年のクリスマスに桜田と大喧嘩したことを思い出す。初のライブ配信を行うことにした松尾たちだが、その開始直前、坂上がファンの女の子と会っていたことでネットが炎上し、松尾たちの顔写真も流れる事態になるが、場所を変えてライブ配信を始めた松尾たちに、桜田から応援メッセージが入る。

エピローグ

YouTubeのことが学校にバレてこっぴどく怒られた松尾だったが、織田の計らいで桜田と再会し、仲直りする。

(ここまで) 

 

織田の突然の誘いで、YouTubeでゲーム実況を配信することになった松尾直樹の目線で、その歌が好きで友達になったが喧嘩をして疎遠になってしまった桜田蛍への思いも交えながら描いています。

ユーチューバーという今の旬の仕事?を舞台にした青春小説ですが、男子高校生4人を中心としているせいか、これまでに読んだ武田綾乃さんの他の作品と比べて、人物の造形が浅い感じがしました。