しばらく前になりますが、アニメ映画「Away」(2020年12月11日(金)公開)を観に行きました。
来たのはMOVIX三郷。公開当初の上映館は首都圏5館のみだったようですが、その後上映が始まる映画館も出ています。この映画館では1月1日から上映が始まりましたが、入りが良くなかったのでしょう、たった2週間で打ち切りとなってしまいました。
以前から気になっていた映画、自分が観に行けそうな上映館は他には新宿くらいしかなかったので、相対的に密を避けられそうなこちらの映画館に。
入口横には、鬼滅の刃のポスターがまだ並んでいました。
この日の上映スケジュール。やはり緊急事態宣言を受けて、19時台に上映が終わるスケジュールになっていました。
休日の朝ですが、ロビーのお客さんはまばらな感じです。
上映は139+2席のシアター2。お客さんは5人ほどでした。
ラトビアの25歳(当時)の青年、ギンツ・ジルバロディスが、3年半もの時間ををかけ、たった一人で制作した作品とのこと。2019年のアヌシー国際映画祭で、実験性・革新性のある長編アニメーションを対象とするコントルシャン賞を受賞するなど、世界各地の映画祭で賞を獲得しているようです。
公式サイトのストーリーによれば、
飛行機事故でたった一人生きのびた少年は、
森で地図を見つけ、
オートバイで島を駆け抜ける。
<黒い影>から逃れて、小鳥とともに。
・・・というあらすじ。
全編にわたって、セリフはなく、効果音・環境音と劇伴音楽だけで描かれており、少年が「黒い影」に出会う導入部の後、
- 第1章 禁断のオアシス
- 第2章 鏡の湖
- 第3章 眠りの井戸
- 第4章 霧の入り江
の4つの章に分かれています。多少間違いがあるかもしれませんが、記憶の範囲でより詳しい内容を紹介すると、次のような感じです。
第1章 禁断のオアシス
少年が、「黒い影」が入ってこない地帯に逃げ込み、そこで黄色い小鳥と出会います。そのエリアを探索する少年は、1台のバイクを見つけ、さらに、バッグと水筒、地図、バイクのキーなどを見つけます。洞窟の中で白骨化した死体を見た少年は、小鳥をバッグのポケットに入れ、バイクに乗ってそのエリアを脱出します。
第2章 鏡の湖
少年は、じわじわと追いかけてくる「黒い影」から逃げ、地図の端に描かれた街がある入り江を目指してバイクを走らせます。途中、深い谷に掛けられた木造の橋を渡った少年は、その橋を渡る「黒い影」の足元に岩を落として橋を壊し、「黒い影」は谷底に落ちていきます。少年は、さらにバイクを走らせます。
第3章 眠りの井戸
ずっとバイクを走らせる少年は、間欠泉のように水が噴き出す井戸を見つけます。そこには黒猫の群れがいて、水が噴き出すのが収まると、その水を飲みに井戸に下り、上がってくると眠ります。その水を飲んだ少年もそこで眠ってしまいます。一方、「黒い影」は谷を這い上がり、再び少年を追いかけます。さらにバイクを走らせる少年は、墜落した飛行機の残骸を見つけ、そこで雨宿りすることになります。
第4章 霧の入り江
さらにバイクを走らせる少年でしたが、雪が降る峠道で、急な坂にバイクも動かなくなってしまいます。バイクを押して進みますが、頂上近くで力尽きて倒れてしまった少年、そこに追いついた「黒い影」が少年を飲み込みますが、小鳥のおかげで助かります。そして峠を越えた少年に、入り江の街が見えてきます。下り坂で雪崩も襲いかかりますが、それを逃れた少年に街の景色が目に入ってきます。
(ここまで)
少年など生き物のデザインは絵本風にシンプルにデフォルメされた絵ですが、ポスタービジュアルとなっている「鏡の湖」の景色をはじめ、背景の景色はとても美しい作画で、とても1人で作り上げたとは思えない素晴らしいものでした。
状況を説明するセリフや字幕などは全くないので、個々の描写の解釈は観客に委ねられています。監督がこの作品にどのようなメッセージを込めたのか、必ずしも理解が及ばないところもありましたが、魅力的な作品でした。
首都圏での上映はいったん終わってしまいましたが、1月23日(土)公開予定だったシン・エヴァンゲリオンの突然の公開延期の影響か、今週末から、MOVIX系を中心に首都圏で6館、全国では10数館で上映が始まるようです。興味がある方には、ぜひ見てほしいと思います。