鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「あのこは貴族」

週末にMOVIX柏の葉に行きました。

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朝の時間帯、あまり人は多くありませんが、一時期よりは人が増えた感じがします。

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この週の上映スケジュール。東日本大震災から10年ということで、昨年公開された「Fukushima50」がリバイバル上映されています。

この日観たのは「あのこは貴族」(2月26日(金)公開)。全国119館での公開でしたが、あまり客入りが良くなかったのか、ここでは3週目となるこの週で終了となってしまうようだったので、観に行くことにしました。

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シアター入口で、塩川いづみさんオリジナルイラストポストカードをいただきました。実写映画で入場者プレゼントがあるのは少ないので、意外でした。後で調べてみたら、既に配布を終了している映画館が多いようだったので、殊更のありがたみはないものの、ラッキーだったかもしれません。

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上映は103+2席のシアター4。

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オーディオコメンタリーも聴けるようでしたが、初めての鑑賞なので、普通に観ることにしました。お客さんは10人ほどでした。

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(チラシの表裏)

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(上のチラシより前に映画館で配布していた二つ折りチラシ)

山内マリコの同名小説を原作に、岨手由貴子の監督・脚本で映画化した作品。


公式サイトのストーリーによれば、

 

東京に生まれ、箱入り娘として何不自由なく成長し、「結婚=幸せ」と信じて疑わない華子。20代後半になり、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされる。あらゆる手立てを使い、お相手探しに奔走した結果、ハンサムで良家の生まれである弁護士・幸一郎と出会う。幸一郎との結婚が決まり、順風満帆に思えたのだが…。一方、東京で働く美紀は富山生まれ。猛勉強の末に名門大学に入学し上京したが、学費が続かず、夜の世界で働くも中退。仕事にやりがいを感じているわけでもなく、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。幸一郎との大学の同期生であったことで、同じ東京で暮らしながら、別世界に生きる華子と出会うことになる。2人の人生が交錯した時、それぞれに思いもよらない世界が拓けていく―。

 

というあらすじ。

主なキャストは、

など 。

2016年の元旦、家族との会食のため都内の高級ホテルにタクシーで向かう華子のシーンで映画が始まります。本来、婚約者のお披露目のはずだったが、その日婚約者と別れ、1人でやってきた華子に、母親たちはさっそくお見合いを勧める、という導入部に続いて、

第一章 東京(とりわけその中心の、とある階層)

第二章 外部(ある地方都市と女子の運命)

第三章 邂逅

第四章 結婚

第五章 彷徨

という5章に分けて描かれています。

 

代々病院を営むお家柄、異動はタクシー、家で食べる昼食は出前の鰻重、初等科からの一貫校出身という、いかにも上流のお嬢様の27歳の華子。いろんな人に勧められるままに結婚相手探しに走り、義兄の紹介でその会社の顧問弁護士をしていた青木幸一郎と見合いをし、一目惚れします。デートを重ね、幸一郎の別荘でプロポーズされますが、その夜、幸一郎のスマホに時岡美紀という女性からメッセージが入っているのを見てしまいます。ここまでが第一章。

第二章では、2017年元旦、富山の実家に帰省した時岡美紀の対照的な暮らしぶり、そして彼女の回想が描かれます。華子の暮らしとの対比は鮮やかです。同窓会に出席した美紀は、かつてともに慶應義塾大学に進学した平田理英と久しぶりに再会し、旧交を温めます。そこに、幸一郎からイベントに一緒に行こうと誘うメッセージが入ります。

第三章では、華子は幸一郎の家に挨拶に行き、正式に結婚が認められますが、自分の家より格上の青木家の様子に引っ掛かりを感じます。一方、幸一郎と美紀が行ったイベントでヴァイオリンを弾きに来ていた相楽逸子は、たまたま2人と話したことで、幸一郎が華子の婚約者だと気づいて華子に知らせ、後日2人を呼び出して引き会わせます。邂逅は平穏に終わりますが、その後、美紀は、幸一郎にもう会うのを止めようと告げます。

第四章は、幸一郎と華子の結婚式のシーンで始まります。結婚生活が始まりますが、子どもはできず、政治家の叔父(伯父?)の後継ぎとなるためその秘書となった幸一郎は忙しくなって、すれ違いが増えていき、ついには別れることになります。一方、美紀の元に東京で起業を考える理英がやってきて、結果的に、二人で共同して起業することになります。

最後に、1年後、逸子のマネージャー的な立場で逸子が出演するミニコンサートの会場を訪れた華子が、その地を選挙区とする政治家となった幸一郎と再会するところで、映画は終わります。

 

最高とも思える相手との結婚を手に入れた華子が、美紀との出会いをきっかけに、少しずつ変化していく物語。一方の美紀も、華子との出会いをきっかけに、なんとなく続いていた幸一郎との関係に終止符を打ち、理英の誘いで起業して、東京で生きる意味を見出だしていきます。

2人ともに、なんとなく生きてきたそれまでの自分から、一歩踏み出して心が自由になっていく過程を描いた物語。タクシーに乗る華子と自転車で走る美紀、といったように、両者の描写の対比も鮮やかで、理解が難しいところもありましたが、なかなかいい作品だと思いました。