鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「ブータン 山の教室」

休日の午前、キネマ旬報シアターに来ました。

f:id:Reiherbahnhof:20210530144116j:plain
この映画館に来るのはおよそ1か月ぶり。

f:id:Reiherbahnhof:20210530144219j:plain
この週の上映作品。

f:id:Reiherbahnhof:20210530144240j:plain
観たのは「ブータン 山の教室」(4月3日(土)公開)。

シネコンなどでは、ほとんどが全席販売に戻っていますが、この映画館は、1席ずつ間隔を開けての販売が続いていました。

f:id:Reiherbahnhof:20210530144912j:plain

f:id:Reiherbahnhof:20210530144923j:plain
上映は148席のスクリーン2。実質的な定員は74人。けっこう埋まっていました。30人は入っていたと思います。

f:id:Reiherbahnhof:20210530145005j:plain
ロビーのスクリーン入口近くにはちょっとした作品紹介の展示がありました。

f:id:Reiherbahnhof:20210530145016j:plain

f:id:Reiherbahnhof:20210530145026j:plain
『標高4,800メートルの地にあるブータン北部の村ルナナ。ブータン民謡が響きわたるこの村で暮らすのは、大自然とともにある日常に幸せを見つけ生きる大人たち。そして親の仕事の手伝いをしながらも、“学ぶこと”に純粋な好奇心を向ける子どもたちだ。人口わずか56人のルナナには、電気も携帯電話もない。『ブータン 山の教室』に登場するのは、実際にルナナで暮らす人々だ。ブータンの新鋭、パオ・チョニン・ドルジ監督は、人々の笑顔あふれる暮らしを圧倒的な映像美で映し出した。グローバル化が進み、世界の景色が単一化するいま、この作品は私たちに“本当の豊さとは何か”を教えてくれる。』との作品紹介。
さらに主要キャスト・スタッフの紹介、そしてブータン料理の紹介もありました。内容は公式サイトからのプリントアウトのようです。 

f:id:Reiherbahnhof:20210530102918j:plain

f:id:Reiherbahnhof:20210530102932j:plain
(映画館でもらったチラシ)

 脚本・監督はパオ・チョニン・ドルジ。これが初の長編映画ということだそうです。

公式サイトのストーリーによれば、

 

現代のブータン。教師のウゲン(シェラップ・ドルジ)は、歌手になりオーストラリアに行くことを密かに夢見ている。だがある日、上司から呼び出され、標高4,800メートルの地に位置するルナナの学校に赴任するよう告げられる。一週間以上かけ、険しい山道を登り村に到着したウゲンは、電気も通っていない村で、現代的な暮らしから完全に切り離されたことを痛感する。学校には、黒板もなければノートもない。そんな状況でも、村の人々は新しい先生となる彼を温かく迎えてくれた。ある子どもは、「先生は未来に触れることができるから、将来は先生になることが夢」と口にする。すぐにでもルナナを離れ、街の空気に触れたいと考えていたウゲンだったが、キラキラと輝く子どもたちの瞳、そして荘厳な自然とともにたくましく生きる姿を見て、少しずつ自分のなかの“変化”を感じるようになる。

 

というあらすじ。


主なキャストは、

  • 主人公・ウゲン: シェラップ・ドルジ
  • ウゲンに親身に接してくれるヤク飼い・ミチェン: ウゲン・ノルブ・へンドゥップ
  • ウゲンが親しくなる女性・セデュ: ケルドン・ハモ・グルン
  • 学校のクラス委員のペム・ザム: ペム・ザム
  • ミチェンの仲間のヤク飼い・シンゲ:ツェリン・ドルジ

など。その他の登場人物の多くは実際のルナナ村の住民のようです。

 

記憶の範囲でもう少し詳しく内容を紹介すると、次のような感じです。

 

教師を務める義務的期間があと1年ほど残っているものの、教師は自分には無理だと諦め、歌手を目指してオーストラリアへ行こうとビザを申請中のウゲンは、長官に呼び出され、ルナナ村への赴任を命じられます。

同居する家族の祖母、恋人や友人に見送られて首都ティンプーを出発したウゲンは、マイクロバスで1日かけてガサまで行った後、そこからは迎えに来たミチェン、シンゲと山道を7日間歩いて、ルナナ村に到着します。

設備もなく古びた学校の様子に、ウゲンは、正直に言わせてもらうと自分には無理だ、すぐに帰りたいと村長に訴えますが、翌朝、楽しみに出迎えに来たクラス委員のペン・ザムに促されて授業を始めることになります。

子どもたちの未来のために教育を与えたいと願う村長は、ウゲンを丁重にもてなし、村人たちも敬意を持って親切に接してくれます。子どもたちは目を輝かせて授業を受け、学校がない隣村からも教育を受けさせてほしいと子どもがやってきます。それらに感化されて、ウゲンは熱意を持って子どもたちに接するようになり、ミチェンたちに黒板を作ってもらい、首都ティンプーの知人に頼んで教材などを送ってもらって、子どもたちへの授業を続けていきます。

一方、親しくなった村一番の歌い手のセデュから、彼女が歌う伝統歌の「ヤクに捧げる歌」を教えてもらううちに、彼女にひかれるようになっていきます。

しかし、数か月が過ぎ、雪に閉ざされてしまう冬の訪れを前に、村長の勧めで村を離れることになります。ウゲンはセデュに一緒にティンプーに行かないかと誘いますが、セデュは、祖母もいるし私の家はここ、いつまでもここで待っていると答えます。

子どもたちや村人に惜しまれながら村を離れたウゲンでしたが、再び村には戻ることなく、オーストラリアに渡ります。酒場でギターを手に歌うのを仕事にしていたウゲンは、歌っていた陽気な音楽を止めると、セデュから教わった「ヤクに捧げる歌」を歌い出します。
(ここまで)


美しい風景と子どもたちの純朴さに心が洗われる映画でした。再び村に戻ることはなかったウゲンですが、村での数か月の日々は、一生の思い出になったのだろうと思います。

電気や水道もない山奥の村での暮らしは、実際にはかなり過酷なのだろうと思いますが、 一度この美しい風景を見てみたくなりました。