鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「彼女が好きなものは」

休日の朝にTOHOシネマズ柏に行きました。

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映画館は、柏市の旧沼南町エリアにある大きなショッピングモール「セブンパーク アリオ柏」の3階にあります。ここに来たのは結構久しぶりかもしれません。朝9時ごろ、まだショッピングモールの開店前の時間帯、それほど人は多くありませんでした。

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この日の上映スケジュール。全部で16作品が上映されていました。同系列のシネコンでも、比較的近くにあるTOHOシネマズ流山おおたかの森はミニシアター系作品など小規模公開の作品が上映されることも多く、全体的に上映作品数が多いのですが、こちらの映画館は、スタンダードな作品以外の上映は少なく、上映作品数は少なめな印象です。

この日観るのは、映画「彼女が好きなものは」(12月3日(金)公開)。90館と比較的小規模での公開ですが、その上映館の4分の3はTOHOシネマズになっています。公開2週目になると、上映回数が大きく減ってしまったので、時間的に都合が良かったこの映画館で観ることにしました。

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上映は82+2席のスクリーン3。中に入ってみると、お客さんは自分のほかにもう1人だけ。この入りでは、公開2週目で上映終了になってしまいそうです。

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チラシの表裏。

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公開日発表前に配布されていたチラシ。

 

浅原ナオトの小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」を実写映画化した作品だそうで、思いがけず接近し普通の男女として付き合い出した、ゲイであることを隠して生きる男子高生と、BL好きであることを秘密にしているクラスメイトの女子高生を描いた物語。監督・脚本は草野翔吾。草野監督の作品では、以前にDVDで「世界でいちばん長い写真」を観たことがありますが、スクリーンで観るのは初めてです。


公式サイトのストーリーによれば、

 

【ゲイ】であることを隠している僕
【BL好き】を隠している彼女
交わるはずのなかった二人の出会い、告白、そして―。
⾼校⽣の安藤純(神尾楓珠)は⾃分がゲイであることを隠している。
ある日、書店でクラスメイトの三浦紗枝(山田杏奈)が、男性同⼠の恋愛をテーマとした、いわゆるBLマンガを購⼊しているところに遭遇。
BL好きを隠している紗枝から「誰にも⾔わないで」と口止めされ、そこから2人は急接近。しばらしくて、純は紗枝から告白される。
「⾃分も“ふつう”に⼥性と付き合い、“ふつう”の人生を歩めるのではないか?」。
一縷の望みをかけ、純は紗枝の告⽩を受け⼊れ、付き合うことになったのだが・・・。

 

・・・というあらすじ。

主な登場人物は、

  • 安藤 淳【神尾 楓珠】:主人公。社会人の誠と肉体関係を持ち、自分がゲイであることを自覚する一方で、結婚して子供をもつというスタンダードな幸せの形を諦めきれず、葛藤する。

  • 三浦 紗枝【山田 杏奈】:BLが好きな美術部のクラスメート。BLにのめり込みながらも、彼氏がゲイであったという現実を受けとめきれずに戸惑う。

  • 高岡 亮平【前田 旺志郎】:純の幼い頃からの友人。紗枝に好意を抱きつつ、友人として純の支えになる。

  • 小野 雄介【三浦 獠太】:亮平の友人でバスケ部。嘘をついてゲイを隠していた純に厳しく当たる。

  • 佐倉 奈緒【三浦 透子】:紗枝がお姉さんと慕うBL好き仲間。

  • 近藤 隼人【渡辺 大知】:奈緒の彼氏。
  • 今宮 くるみ【池田 朱那】:紗枝に寄り添う親友。

  • Mr. ファーレンハイト【磯村 勇斗】:純がSNSで親交を深めていたゲイの謎の男性。純にメッセージを残して自殺してしまう。

  • 安藤 みづき【山口 紗弥加】:シングルマザーで純を育てている母親。

  • 佐々木 誠【今井 翼】:純の恋人。妻子持ちの会社員で、悩む純にかつての自分を重ねるように優しく寄り添う。

など。

ネタバレになりますが、もう少し詳しく書くと、純は、ホモ(ゲイ)であることを自覚し、誠と恋人関係にありますが、一方で、結婚して子どもを作り、家族に囲まれて死ぬ、という「普通」の幸せを願い、自分がそうなれないことに苦悩します。偶然のきっかけでBL(ボーイズラブ)コミック好きな紗枝と親しくなり、告白されて、自分を変えることができるかもしれないという思いから、付き合い始めます。人としては好きになりますが、セックスはうまくいかず、自分がゲイであることを思い知らされ、ある出来事から、誠とキスしているところを紗枝に見られてしまいます。翌日の放課後、純は紗枝に自分がホモであることを打ち明け謝罪しますが、それを小野が盗み聞きしたことで、周囲に広まってしまい、絶望した純は教室の窓から飛び降りる・・・という展開。

難しいテーマ、どういう展開になるのかと思って観始めましたが、思っていた以上にセクシャル・マイノリティの生きにくさや苦悩が正面から描かれていました。絶望の底に沈んでから、少しずつ癒えるように進んで希望を感じさせるエンディングに着地する後半の展開も良く、考えさせられる作品でした。