休日の朝にTOHOシネマズ柏に行きました。
前回来た時とほぼ同じ9時半すぎの時間帯、この日は人が少なめでした。
この日の上映スケジュール。既に上映が始まっていたものも含めると、18作品・23種類の上映が行われていました。
この日観るのは「メタモルフォーゼの縁側」(6月17日(金)公開)。全国141館と中規模での公開。映画情報サイトなどの口コミ評価もおおむね高いようだったので、行ってみることにしました。
上映は82+2席のスクリーン4。20人ほどはお客さんが入っていました。
チラシの表裏。
チラシの中見開き。
鶴谷香央理さんの同名コミックを実写映画化した作品だそうで、監督:狩山俊輔、脚本:岡田惠和。
公式サイトのストーリーによれば、
佐山うらら、17歳。みんなみたいにキラキラできない女子高生。唯一の楽しみは、毎日こっそりBL漫画を読むこと。
もうひとりの主人公・市野井雪、75歳。夫に先立たれ、人生の終わりがちらつく今日この頃。
ある日、ふたりは同じ本屋にいた。うららはレジでバイト、その前に出された一冊のBL漫画。顔を上げるとそこにいたのは雪だった。
雪はBLの意味さえ知らず、きれいな表紙に惹かれ思わず手に取っただけ。初めての世界に驚きつつも、男子たちの恋物語にすっかり魅了され、老いた身体にときめきがよみがえる。続きが読みたい。雪は新刊を求め、再び本屋に向かうのだった。
こうして出会ったうららと雪。好きなものを語り合える「友達」ができた。
あくなきBL愛を語り合う日々の中、雪が言う。「うららさんは自分で漫画描きたいと思わないの?」
そして、ふたりはある挑戦を決意。
それは創作漫画の即売会「コミティア」への出展。
年の差58歳、うららと雪の挑戦がはじまった。そしてそれは、あるメタモルフォーゼ(=変身)をもたらしていくことになる―—。
・・・というあらすじ。
公式サイトで紹介されているキャストは、
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佐山 うらら【芦田 愛菜】:人付き合いの苦手な女子高生。書店でアルバイトをしている。BL漫画が好きだが人には隠している。
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市野井 雪【宮本 信子】:夫を亡くして3年になる老婦人。書道教室を開いている。
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河村 紡【高橋 恭平(なにわ男子)】:うららと同じ高校に通う幼なじみ。
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コメダ 優【古川 琴音】:うららと雪が好きなBL漫画「君のことだけ見ていたい」の作者。
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橋本 英莉【汐谷 友希】:うららと同じクラスの紡の彼女。海外留学を目指して勉強に励んでいる。
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佐山 美香【伊東 妙子】:うららの母。女手ひとつでうららを育てている。
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花江【生田 智子】:雪の娘。ノルウェーに住んでいる。
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沼田【光石 研】:息子を雪の書道教室に通わせている町工場の印刷会社の社長。
というところ。
ネタばれになりますが、もう少し詳しくあらすじを記すと、
人付き合いが苦手で、友人もおらず、書店でアルバイトをしているうらら。表紙に惹かれて偶然に買ったBL(ボーイズラブ)漫画にはまった雪とある偶然から友だちになる。夫に先立たれて一人暮らしの雪は、友達ができたことを喜び、うららは、雪といろいろな話をしているう自分も漫画を描こうと思うようになり、同人誌の即売会「コミティア」に一緒に出店することにしようと誘い、雪は二つ返事でOKする。うららは、「遠くから来た人」という10ページほどの同人誌を描き上げる。
迎えたコミティアの日、雪がぎっくり腰で来れなくなり、うららは1人で会場の有明ビックサイトに向かうが、会場の雰囲気に呑まれて弱気になり、ブースを開けることができずに会場の外で時間を過ごす。一方の雪は、痛みをこらえて何とか起き上がり、沼田の車で会場に向かうが、もう少しというところで車がエンストし、会場にたどり着くことができない。そこに通りがかったコミティア帰りの女性が話しかけ、うららが事情を話すと、うららが持っていた「遠くから来た人」を売ってほしいと訴え、その本を100円で売る。
その後しばらくして、二人がはまっていたBL漫画が完結し、作者のコメダ優のサイン会が開かれる。雪の順番となりサインを書いてもらうと、コメダが突然話しかけ、コミティアの日に同人誌を買ったのは自分であること、行き詰っている時で読んで元気が出たと話す。うららは漫画を描いたのは自分でなく友達のうららであることを話し、感謝の言葉を伝える。サイン会の後落ち合ったうららにそのことを話すと、うららは驚愕するが、自分の中で何かが変わったことを感じるのだった・・・
というあたり。
爽やかな余韻の残る、いい映画でした。BL漫画という、ある種キワモノをテーマにしていますが、それは単なる舞台設定に過ぎず、年代の離れた二人の交流の中で、それぞれに起こる変容(メタモルフォーゼ)を描いた作品といえます。二人がはまったBL漫画の作者のエピソードを織り込んでいるのも効果的だと思いました。等身大の女子高生を演じた芦田愛菜も好演でした。