鷺の停車場

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香月美夜「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部 女神の化身Ⅳ」

香月美夜の小説「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~」の第五部「女神の化身Ⅳ」を読みました。

ローゼマインの後見人だったフェルディナンドが結婚のためアーレンスバッハに旅立った後を描く第5部の第4巻で、2021年1月に刊行されています。第3巻に続いて読んでみました。

 

単行本の表紙裏には、次のような紹介文があります。

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貴族院からエーレンフェストに帰還したローゼマイン達を待ち受けていたのは、領主一族の分断だった。冬の粛清で天下となったライゼガング系貴族の意向により、それぞれの不信感が募っていく。

それでも歩みを止めないローゼマインの日々は少しずつ変化を生む。春を寿ぐ宴、久し振りの神殿見学会に下町の商人達との会合、御加護の再取得、次代の神殿長育成、そして閉ざされた国境門で知らされる壮大な物語。

領主一族へ―—歴史と派閥の壁を乗り越えろ!「向上心とやる気のある若手を集め、エーレンフェストの世代交代を全力で進めましょう!」

書下ろし短編×2本、椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!

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本巻は、プロローグ・エピローグと見出しで区切られた16節からなり、巻末に番外編の書き下ろし短編が2編、著者によるあとがきの後にはイラストを担当している椎名優による巻末おまけの四コマ漫画が収録されています。各節のおおまかな内容を紹介すると、次のようなあらすじです。

 

プロローグ

カルステッド(エーレンフェストの騎士団長で貴族としてのローゼマインの父)からこき使われているランプレヒト(カルステッドの息子で、ヴィルフリートの上級護衛騎士)は、ようやく取れた休暇で、エルヴィーラ(カルステッドの第一夫人で貴族としてのローゼマインの母)の管理下にある息子を産んだばかりのアウレーリア(アーレンスバッハから嫁いだランプレヒトの妻)に会いに行く。エルヴィーラは、かつてのヴェローニカ(ジルヴェスターの母親で現在は幽閉中)の側仕えで粛清で捕らえられたトルデリーデ(カルステッドの第二夫人)の息子のニコラウスがローゼマイン(主人公。エーレンフェストの領主候補生3年生で神殿長)に近付かないよう注意すること、旧ヴェローニカ派の粛清で増長したライゼガング系貴族がローゼマインを次期領主にしようと動いていることなどを聞かされる。

帰還と周囲の状況

貴族院からエーレンフェスト(順位8位の中領地)に戻ったローゼマインをボニファティウス(ジルヴェスターの伯父・カルステッドの父で、貴族としてのローゼマインの祖父)や側近の護衛騎士が出迎える。その日の夜、久し振りの賑わいに喜ぶメルヒオール(ジルヴェスターの次男でローゼマインの義弟)やジルヴェスター(エーレンフェストの領主でローゼマインの養父)など領主一族での夕食で、2日後に領主一族の会議を開くと聞かされる。翌日、ローゼマインは、貴族院で名捧げをした新しい側近をエーレンフェストに残っていた側近に紹介し、隠し部屋でフェルディナンド(ジルヴェスターの異母弟で元神官長。ローゼマインの後見人だったが、王命により、アーレンスバッハの領主候補生6年生のディートリンデの婚約者となった)が録音した魔術具を聞くが、褒め言葉が入った魔術具は図書館の隠し部屋でのみ使えるようになっていた。

ランプレヒトとニコラウス

その日の午後、ローゼマインは、やってきたランプレヒトと会い、赤ちゃんが生まれたが、アーレンスバッハ(順位6位の大領地)出身のアウレーリアやその子供は厳しい視線に晒されるため、しばらくは家族以外には秘密にすること、ニコラウス(カルステッドとトルデリーデの息子。9歳で騎士見習いになるための鍛錬中)はトルデリーデが戻るまで子供部屋に置いておくことなどを聞かされる。ローゼマインは子供部屋に残される子供たちを孤児院に移せないかと考えるが、ヴィルフリート(ジルヴェスターの息子・ローゼマインの義兄のエーレンフェストの領主候補生3年生でローゼマインの婚約者)は、隠しても何の解決にもならないと反対する。ヴィルフリートはニコラウスはローゼマインの側近を希望していると話すが、コルネリウス(ランプレヒトの弟、貴族としてのローゼマインの兄で、側近の上級護衛騎士)は、危険実物のトルデリーデが近付く隙を作るのは許容できないと反対する。

領主一族の会議

翌日、領主一族の会議でジルヴェスターは、フロレンツィア(ジルヴェスターの第一夫人で、貴族としてのローゼマインの養母)が懐妊したこと、冬の粛清でギーベ(地方の領主)・ゲルラッハで自害した者にエーレンフェストの貴族でない者もおり、ギーベ・ゲルラッハの死に一抹の不安があること、領主一族に名を捧げて連座を免れた者を調査のために騎士団が借りること、粛清で空いた地位に誰が就くかと貴族たちの暗躍が始まっており、他領との社交より内政をまとめることを優先せざるを得ない状況であることなどが報告され、貴族院の順位を上げないようにと言われる、それがローゼマインの支持基盤であるライゼガング系貴族の総意で、ローゼマインは次期アウブ(各領地の領主)を目指すつもりがないことは行動で示すしかないと聞かされ、フロレンツィアの穴を埋めて女性の社交を通じて女性貴族をまとめるよう求められる。ヴィルフリートは社交経験を積む必要があると賛成するが、ローゼマインは全部抱え込むのは無理と難色を示し、シャルロッテ(ジルヴェスターの娘の領主候補生2年生。ローゼマインの義妹)は、ローゼマインを援護し、フロレンツィアの代わりは自分がすると言い、第二夫人を娶るのではなく第一夫人を妊娠させたジルヴェスターを責める。フロレンツィアの懐妊で、グレッシェルのエントヴィッケルン(町全体を造り替える大規模魔術)は延期せざるを得ないと話すジルヴェスターに、ローゼマインはグレッシェルを始めとするライゼガング系貴族に反発されないよう、グレッシェルの整備はアウブを責任者となって主導するよう提案する。自分も役に立ちたいと言うメルヒオールに、ローゼマインは自分の手伝いをしてもらい神殿業務の勉強をしてもらうことにする。

メルヒオールと神殿準備

会議が終わると、新しい役目に瞳を輝かせるメルヒオールに、ローゼマインは神殿について話をする。領主夫妻についてのメルヒオールの話しぶりに、先の会議でのジルヴェスターの言葉との違いに引っかかりを感じるローゼマイン。同じように違和感を抱いているシャルロッテに、ローゼマインは、大事な情報が足りていない、ライゼガングの総意というところに鍵があると思う、ライゼガング系の側近を集めて話を聞くと話す。

ライゼガングの総意

自室に戻ったローゼマインは、ライゼガング系の側近たちも呼んで、リヒャルダ(ローゼマインの筆頭側仕えの上級貴族)、オティーリエ(ローゼマインの側近の上級側仕え)、アンゲリカ(ローゼマインの側近の中級護衛騎士でリーゼレータの姉)、ハルトムート(ローゼマインの側近の上級文官で神官長。オティーリエの息子)コルネリウス、レオノーレ(ローゼマインの側近の上級護衛騎士見習い6年生)ブリュンヒルデ(ローゼマインの側近の上級側仕え見習い5年生)たちに、ライゼガングの総意について話を聞く。レオノーレとブリュンヒルデは、自分は同意していないと話すが、ブリュンヒルデは、大人たちが順位の上昇に付いて来れず世代間での考え方や意識の違いが大きくなっていること、ヴィルフリートよりローゼマインの方が次期領主に相応しいという声はずっと消えずに残っていることを、コルネリウスは、ヴィルフリートがライゼガング系の貴族から次期領主に推してもらうための課題のようなものが出されたことを、オティーリエはライゼガング系の貴族からローゼマインについて様々な質問をされたこと、ローゼマインは女性の社交をもっと重視してほしいという意見が根強いこと、ハルトムートは、ローゼマインを神殿から救い出すために次期アウブにしたいボニファティウス派、完全にヴェローニカの血を排除したい過激派、ライゼガングからアウブを出したい主流派、ローゼマイン本人が望むなら協力する消極的賛成派、魔力の強い者がアウブになるべきという競争要求派と、ライゼガング系も一枚岩でないことを話す。さらに、ハルトムートは、印刷業を広げたいローゼマインにはライゼガングの支持など必要ない、外に敵を設定すれば領主一族がもう一度まとまることができると指摘し、変化を望まない年寄りを敵に想定して、若者を取り込んで領地を変えたいと考えるアウブの支持基盤を新たに作ることを進言する。オティーリエは、提案だけして、派閥をまとめるのはヴィルフリートに任せればいいと進言する。ローゼマインは、向上心とやる気のある若手を集め、エーレンフェストの世代交代を進めることを決意する。

アウブとの話

ローゼマインは、ジルヴェスターに面会依頼を出し、シャルロッテと情報交換する。シャルロッテは、ジルヴェスターやヴィルフリートが断ることができないような条件や圧力がかけられている、会議での言葉は本心ではないと思うと話し、急激な変化に戸惑い反発するのは年寄りだけではない、ジルヴェスターがライゼガング系貴族から第二夫人を娶るのが一番穏やかにまとまると話す。ボニファティウスも同席してのジルヴェスターとの面会で、ローゼマインは、メルヒオールの神殿入りに必要な準備について説明した後、子供部屋の子供たちを神殿の魔力補充、子供たちの教育、貴族たちの悪意から守るために神殿で預かりたいと提案する。さらに、ライゼガング系貴族から無理難題を突き付けられているジルヴェスターに感謝の意を伝えるとジルヴェスターとボニファティウスは驚く。ローゼマインは側近たちから集めた情報を話し、農村などを治めるギーベの仕事は保守的な者に任せ、向上心があり変化を柔軟に取り入れられる者を派閥に関係なく重職に就けることを提案する。

ブリュンヒルデの提案

ローゼマインが第二夫人をライゼガングから迎えるのが一番穏便で上手くまとまるとのシャルロッテの話をジルヴェスターに伝えると、静かに控えていた側近たちの中からブリュンヒルデが進み出て、自分をアウブの第二夫人にすることを提案する。突然の話に思考回路が真っ白になり大混乱するローゼマイン。ブリュンヒルデは、ライゼガング系貴族の意思とは関係ない形で話をするため独断で言い出したことを話し、自分を第二夫人とする様々な利点を理路整然と説明する。ローゼマインは、フロレンツィアを愛し他の女性が目に入らないジルヴェスターに嫁いでもブリュンヒルデが幸せになる未来が見えない、せっかく結婚するのだからもっと愛情を持って接してくれる人と結婚してほしいと訴えるが、領主一族として流行を作り出したいと希望に満ちたブリュンヒルデの顔を見て、考えを変える。その後の話で、ギーベ・グレッシェルの第二夫人が男の子が生まれ、第一夫人の長女であるブリュンヒルデが次期ギーベを降ろされたことを察し、微妙な気持ちになる。ジルヴェスターは、ブリュンヒルデの提案を受け入れ、ギーベ・グレッシェルに面会を申し込むと答えるが、そこに、ギーベ・ゲルラッハが生存している可能性があるとの知らせが入り、ボニファティウスは至急ゲルラッハに向かう。ジルヴェスターとの話が終わった後、思いつめたような表情のリヒャルダが、粛清で側近が激減してしまったジルヴェスターの元に戻らせてほしいと許可を求める。ローゼマインはそれを許可し、オティーリエを筆頭側仕えに変更する。

周囲の変化と春を寿ぐ宴

ジルヴェスターはすぐにギーベ・グレッシェルやライゼガング系貴族に働きかけを始め、次の日の夕方にはブリュンヒルデが実家から呼び出しを受ける。2日後の夕食で、ジルヴェスターが領主一族を集めて、ブリュンヒルデを第二夫人とする決意をし、春を寿ぐ宴で公表すると宣言する。何も知らなかったふりをするローゼマインは、にこやかに歓迎するフロレンツィアの反応に安堵する。春を寿ぐ宴の日、ローゼマインは、ヴィルフリートの筆頭側仕えだったオズヴァルトが辞任していたことを知る。宴が始まり、貴族院の成績発表の後、ジルヴェスターは、成人と同時に神殿長の職を退くローゼマインの後任としてメルヒオールを次期神殿長としての青色神官見習いとし3年の引き継ぎ期間を設けること、グレッシェルのエントヴィッケルンを自分の主導で秋に行うこと、ブリュンヒルデを第二夫人に迎え入れることを公表し、ブリュンヒルデとの婚約が成立する。

神殿見学会

メルヒオールに神殿の側仕えを選んでもらい、子供部屋で生活している子供4人に神殿の生活を見てもらうため、ローゼマインは神殿見学会を開く。フラン(神殿でのローゼマインの筆頭側仕え)、ザーム(神殿長室担当の神殿でのローゼマインの側仕え)、モニカ(神殿長室担当兼料理助手のローゼンマインの側仕え)たちが出迎え、ローゼマインはモニカに商業ギルドとプランタン商会、ギルベルタ商会を3日後に招集するよう頼む。貴族区域を見せた後、孤児院に行ったローゼマインは、アウブが秋に面会し貴族として遇するか否かを決めることを伝える。ベルトラム(ローゼマインに名を捧げた側近・ラウレンツの異母弟)は、神殿での努力が貴族としての生活に役立つことはないと反発するが、ローゼマインは役立てることができるかどうかはその人次第と反論する。子供部屋の子供たちは神殿で生活することを選び、全ての側仕えが決まる。

儀式の準備

祈念式を控え、粛清で青色神官が減った中で祈念式の割り振りを相談するローゼマインたち。ヴィルフリートは、ライゼガング系貴族と一度でも多く顔を合わせて支持を取り付けるためにも、自分やシャルロッテたちがギーベのところを回り、ローゼマインたちは直轄地を回ることを提案する。ジルヴェスターは、フェルディナンドから届いた書簡で、フェルディナンドがアーレンスバッハで祈念式を行うことになり、レティーツィア(順位3位の大領地・ドレヴァンヒェルから養子に入ったアーレンスバッハの領主候補生)が同行することになったことが書かれていたと話す。夕食後、隠し部屋で以前フェルディナンドから届いた手紙を読む。翌日、フェルディナンドに送る荷物や御加護の儀式の準備のためにフェルディナンドの館だった自分の図書館に向かったローゼマインは、隠し部屋でフェルディナンドの録音の魔術具を聞く。ジルヴェスターへの注意事項、ローゼマインへの注意事項が続いた後、最後に入っていた褒め言葉を聞いたローゼマインは、嬉しくて、誇らしい気持ちになる。

御加護の再取得

ローゼマインは、フェルディナンドからの助言に従い、目を付けられている可能性が高い下町の家族やグーテンベルク(印刷業に関わるローゼマインの専属職人たち)のためのお守り作りに励む。翌日、ローゼマインは側近たちを集めて御加護の再取得のための儀式を行う。まずアンゲリカから儀式を始めると、全ての神々の名前を唱えないといけないことがわかる。側近が順番に儀式を行う間、グレーティア(ローゼマインに名を捧げた側近の中級側仕え見習い4年生)を連れて神殿の工房に向かい、ヴィルフリートとシャルロッテに渡すお守りを作るローゼマインは、儀式を終えた側近たちから結果の報告を受ける。そこに儀式でアンゲリカが眷属からの御加護が得られたことを聞いたボニファティウスがエルヴィーラと神殿にやって来ると、ローゼマインは、神殿に入る子供たちを鍛えてもらうようボニファティウスにお願いする。エルヴィーラへの名捧げを望んでいたミュリエラ(ローゼマインに名を捧げた側近の中級文官見習い5年生)の名を返し、ミュリエラがエルヴィーラに名捧げをした後で御加護の儀式を行うと、名捧げをしたエルヴィーラの属性の影響を受けたことがわかる。

クラリッサの来襲

下町の商人たちとの会合の日、ハルトムートがクラリッサ(ダンケルフェルガーの上級文官見習い6年生でハルトムートの婚約者)が、アウブ・エーレンフェストの許可を得てダンケルフェルガー(順位2位の大領地)を出発したこと、クラリッサの暴走に青ざめたアウブ・ダンケルフェルガーからお詫びとフレーベルターク(順位12位の中領地)との境界門に迎えに来てほしいという要望が届いたことをローゼマインに知らせる。ギルド長やプランタン商会、ギルベルタ商会との会合で、ローゼマインは平民用のお守りを配った後、増えた孤児院の子供たちに工房の手伝いを通じて商人とのやり取りを教育してもらうよう依頼し、グレッシェルの整備や印刷業の今後の進め方などについて打ち合わせをする。トゥーリ(マインの実の姉で専属髪飾り職人)とルッツ(マインの幼なじみでプランタン商会の見習い)から、プランタン商会の見習いを志望しているカミル(マインの実の弟)の工房の見学許可を求められたローゼマインは、カミルに会えるかもしれないと心の中が祝福の嵐となるが、そこに、エーレンフェストの西門に到着したクラリッサから門番に止められていると知らせが入る。喜びが一瞬で吹き飛んだローゼマインは、兵士の言葉に従い西門で待機できなければダンケルフェルガーに送り返す、と怒りの返事を出し、ダームエル(ローゼマインの側近の下級護衛騎士)とアンゲリカを西門に向かわせる。

クラリッサの取り扱い

ハルトムートにジルヴェスターへの連絡を頼んだローゼマインは、商人たちとの話し合いを再開し、商人たちの希望や今年の目標などを聞き、プランタン商会には子供向けの知育玩具を他領の商人に販売する許可が出たことを伝える。商人との話し合いを終えたローゼマインは、両親を連れて戻ってきたハルトムートと話をする。レーベレヒト(ハルトムートの父親でフロレンツィアの側近の上級文官)は、ローゼマインとハルトムートを心配し慕うあまり駆け付けたという美談にして収めた方がいい、クラリッサは婚約者として扱いオティーリエが責任をもって毎日自分の家に連れ帰ることになったとジルヴェスターやフロレンツィアも含めて話し合った結果を話し、ローゼマインは、3日に一度くらクラリッサから報告を聞く日を作ることにする。摺り合わせを終えて西門に向かったローゼマインは、兵士たちの中にギュンター(マインの実の父親で門の兵士)の姿を見つけ嬉しくなるが、表情を引き締めて西門の士長に褒美を渡し、クラリッサを自分の図書館に連れていき、暴走の理由を聞き、今後のことについて話をする。アウブの手まで煩わせたことを聞かされて叱られて小さくなるクラリッサは神殿入りを希望するが、ローゼマインは他領の神殿観を考慮してそれを却下し、城でフィリーネ(ローゼマインの側近の下級文官見習い3年生)と共に文官として働くよう命ずる。

メルヒオールと祈念式

春の洗礼式を終えた翌日、衣装や髪飾りの注文に、エーファ(マインの実の母親)を連れてギルベルタ商会がやってくる。カミルの工房見学を洗礼式を終えてプランタン商会が見習いとして連れてきた時に行うことにしたローゼマインは、エーファたちにお守りを渡し、衣装の注文を終える。祈念式が近付き、メルヒオールはローゼマインの祈念式に同行したいと儀式服を借りに来る。祈念式が始まり、ローゼマインたちはまずメルヒオールたちを連れてハッセに向かい、儀式を行った後、小神殿に向かう。

グーテンベルクの弟子達

ローゼマインはメルヒオールをギュンターが率いる兵士たちのところに連れていき、後継者として紹介する。自分が担当する祈念式を終えて神殿に戻ったローゼマインは、グーテンベルクたちと初めて同行するその弟子たちを連れてキルンベルガに向かう。

キルンベルガの国境門

キルンベルガに到着したローゼマインは、大きな町なのに住人が少ない理由を尋ねる。ギーベ・キルンベルガは、ずっと昔のツェント(中央の王)によって国境門が封じられたからで、それまではアイゼンライヒという名前の大領地で、人の行き来が多く賑わっていたと話し、ローゼマインを国境門へ案内する。アウブを目指してほしいと話すギーベ・キルンベルガに、ローゼマインは自分がアウブを目指すつもりがないことを訴える。アイゼンライヒをめぐる経緯を聞いたローゼマインは、キルンベルガに残る文献を見せてもらい、書き写す。神殿に戻ったローゼマインがヴィルフリートの様子を尋ねると、祈念式でライゼガング系のギーベを回った際にいろいろ言われたらしく、様々な不満があるらしいが、不用意に接触しない方がいいと進言される。

エピローグ

ギーベ・キルンベルガの第二夫人の息子でヴィルフリートの護衛騎士であるアレクシスは、ローゼマインに会ったギーベの様子を探りにキルンベルガを訪れる。初めて息子ではなく領主一族の護衛騎士として接する父親は、ローゼマインのアウブとしての素質は予想以上と語り、ヴィルフリートの急変に護衛騎士の辞任も考える息子に対し、主が理想から外れたことが気に食わなくて放り出そうとするのは、思い通りに事が進まず苛立っているヴィルフリートと何も変わらない、護衛騎士として主の名声を守れと諭し、アレクシスは護衛騎士としての決意を新たにする。

 

さらに、番外編の書き下ろしが2編収められています。

反省と羨望

領主一族の会議での自分の発言のせいでブリュンヒルデがアウブの第二夫人に就くことになってしまったと反省するシャルロッテは、ブリュンヒルデを呼び出して話をする。ローゼマインのために先の先まで考えているブリュンヒルデの固い決意を知って羨望を抱くが、他領に嫁いでも姉妹の絆が切れることはないとの側近の言葉に、他領からローゼマインを支えることを決意する。

西門での攻防

突然のクラリッサの西門への来襲の顛末を、門を守る兵士であるギュンターの視点から描いたエピソード。

 

さらに、著者によるあとがきの後に、「毎度おなじみ 巻末おまけ」(漫画:しいなゆう)「ゆるっとふわっと日常家族」と題して、「洗脳の効果」「視力8.0」「厳しい現実」の3本の四コマ漫画が収録されています。

 

主に貴族院でのローゼマインを描いた前巻までとは違って、本巻では、エーレンフェストに戻っての内政が描かれています。粛清によるライゼガング系貴族の台頭で、ジルヴェスターやヴィルフリートは苦しい状況に追い込まれ、側近の交代もあって、ヴィルフリートの様子も、おそらく良くない方向に変わってきました。次巻以降どう進展していくのか、気になるところです。