鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

プレトニョフ/東フィル演奏会

久しぶりにクラシックのコンサートに行きました。


東フィル(東京フィルハーモニー交響楽団)の定期演奏会、特別客演指揮者を務めるミハイル・プレトニョフの指揮によるオール・ラフマニノフ・プログラム。

クラシックのコンサートに行くのはおよそ6年ぶり。仕事がその日の状況次第で遅くなってしまうので、事前にチケットを押さえても当日確実に行けるか分からないこともあって、事前にチケットを買うのは二の足を踏むことが多く、映画をよく観るようになってからは、当日でも動きがとりやすい映画に行くことが増え、クラシックのコンサートからはだいぶ足が遠ざかっていました。

「交響的舞曲」は、かなり前にブログでも書きましたが、個人的に思い出深い曲で、「死の島」もけっこう好きな曲なのですが、いずれも生で聴いたことはありませんでした。この2曲を一度に聴くことができる機会はそうないだろうと思って、仕事が遅くなる可能性が低そうな東京オペラシティコンサートホールの演奏会のチケットを押さえていました。


京王新線初台駅で降りると、駅に直結して東京オペラシティがあります。


東京オペラシティ全体の案内。隣接して、新国立劇場もあります。


エントランスを上がって、コンサートホールへ。


開演の8分ほど前に何とか到着。


ロビーにはポスターなどが飾られていました。


プログラムは、テーブルに並べてあるのを自分で取る方式になっていました。以前であればスタッフが手渡しする方式だったと思いますが、新型コロナの感染拡大後は、接触の少ない方式に変わったのでしょう。


座席表はこんな感じ。


取っていたチケットは、C席の3階左側のバルコニー席。


3階席の正面から見たステージ。


座った席はこんな感じ。ステージの左半分はほとんど見えません。弦楽器は、ヴァイオリンが12人ずつ、ヴィオラ10人、チェロ8人、コントラバス6人と、少し小さめの編成。以前は、ヴァイオリンが16人ずついるのも普通だったと思いますが、これもコロナ禍でソーシャルディスタンスを確保するために人数を減らしたのが続いているのだと思います。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれ、コントラバスが第1ヴァイオリンの後ろに配置される、いわゆる対向配置です。


もらったプログラム。

さて、演奏会の1曲目は、幻想曲「岩」作品7。この曲を聴くのは初めて。1893年に書かれた、ラフマニノフの初期の作品だそう。低弦によるちょっと不気味なモティーフの後、フルートなど木管楽器が装飾的なパッセージが絡んで始まり、次第に高揚した後、最後は静かに終わる曲でしたが、初めて聴いたせいか、あまり印象に残っていません。

2曲目は、交響詩「死の島」作品29。ベックリンの絵画「死の島」の白黒複製画にインスピレーションを得て、1909年に書かれた作品。波に揺れる小舟を思わせる5拍子のオスティナートに始まり、その上に、ゆったりしたモティーフが絡まり、途中に明るさを感じさせる部分も出てきますが、再び不安定な曲調に戻り、音楽が高揚してクライマックスを迎えた後は、次第に静まっていき、静かに曲を閉じます。
プレトニョフの指揮は、コンパクトで大きな身振りはほとんどありませんが、クライマックス近くでは、大きくテンポを動かし、激しさを感じさせる音楽で、印象に残りました。

休憩を挟んで、メインは、「交響的舞曲」作品45。ロシア革命後、亡命しアメリカに本拠を移したラフマニノフが、1940年に書いた、生涯最後の作品。
第1楽章は、遅めのテンポで、がちっと音楽を構築していくような印象。もう少し推進力を感じさせる演奏の方が私は好みですが、テンポ指定は「Non allegro」なので、このくらいゆったりめのテンポの方がスコアに忠実なのかもしれません。
第2楽章は、Andante con moto(Tempo di Valse)。テンポを動かしながら、音楽を高揚させていくのは、「死の島」と共通するところがあって、この楽章は印象的でした。
第3楽章は、Lento assai - Allegro vivace。1楽章と同様に、主部はゆったりめのテンポで音楽を紡いでいくような印象。もう少し推進力があるといいなと思いましたが、悪くない演奏でした。

個々の演奏は、(具体には書きませんが、隣の観客に気が散らされたところもあり)不満を感じる部分もありましたが、久しぶりに生で聴くオーケストラの響きは格別で、特に「死の島」は良かったです。