鷺の停車場

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映画「この小さな手」

先日、船堀に映画を観に行きました。


都営新宿線船堀駅で降ります。この駅で降りるのは初めて。「地下鉄」ですが、この区間は高架になっています。地理的にいうと、JR総武線新小岩駅から南下して東京メトロ東西線西葛西駅へ行く中間あたり、道路でいうと新大橋通り(東京都道50号線)のすぐ近くにあります。


駅の北口を出ると、目の前にタワーホール船堀があります。名前のとおり、高いタワーがそびえています。


この地下1階に、映画館の「船堀シネパル」があります。スクリーンが2つの小さな映画館。江戸川区内では唯一の映画館だそうです。


館内の案内。1階には780㎡の展示ホール、2階には1,500㎡のイベントホールと神前式の結婚式場、3・4階に計17室の会議室、5階には780席の大ホールと最大300席の小ホール、7階にはガーデンチャペルの結婚式場があります。


地下1階には、映画館のほか、島村楽器とATMコーナーがあります。映画館のロビーは、チケット売り場とフード・ドリンクの売り場が共通になっているのは珍しいかもしれません。


この日観るのは「この小さな手」(4月8日(土)公開)。公開当初から気になっていた作品でしたが、これまでの上映館は全国でのべ15館のみ、都心近辺での上映は渋谷のユーロスペースだけで、その上映も公開から2週間で終了してしまい、行ける機会がありませんでした。7月7日(金)から1週間限定で、この映画館で上映されると知って、行ってみることにしました。


上映は、104+1席のシネパル2。世間的には平日の午前でしたが、2~30人くらい入っていたと思います。場所柄なのか、高齢の女性がかなり多い印象でした。


2016年1月から2017年7月にかけてWEB雑誌「マンガonウェブ」に連載された、原作:郷田マモラ、作画:吉田浩による同名コミックを原作に実写映画化された作品だそうで、主要スタッフは、監督:中田博之、脚本:守口悠介など。中田監督は、本作が長編映画デビュー作となるそうです。

 

公式サイトのストーリーによれば、


娘に無関心な父と、父を忘れてしまった娘のものがたり――

ある夜、和真が接待で飲んでいると、買い物に出た小百合が、事故に遭って入院してしまう。ひとりぼっちのひなは、翌朝、1人で目を覚ます。和真は、朝まで居酒屋で寝込んでしまっていたのだった。ひなは、警察に保護され、児童養護施設に引き取られることに。
一切子育てに関わってこなかった和真は、ひなを連れ帰ることを許されなかった。小百合の意識は戻らないまま、何もできずに時間だけが過ぎていく。自暴自棄になっていた和真だが、次第に自分を見守ってくれている人達の存在に気づき、娘との失ってしまった絆を取り戻す決意をする。
しかし、ひなは、和真が面会に来ても泣いてばかり。ひなは、父親の事を忘れてしまったのだろうか…。

 

・・・というあらすじ。

 

主な登場人物・キャストは、次のとおりです。

  • 吉村 和真【武田 航平】:イラストレーター。小百合と共に東京に駆け落ちしてきたため、身寄りはない。

  • 吉村 ひな【佐藤 恋和】:高度不妊治療により出生した和真と小百合の一人娘。

  • 吉村 小百合【安藤 聖】:和真の絵の才能信じて駆け落ちをした。児童養護施設で育った。

  • 千加子【辻 千恵】:児童養護施設「みおの園」の保育士。ひなの担当になる。

  • 佐倉 美音【三戸なつめ】:娘の笑(えみ)を「みおの園」保護されているシングルマザー。

  • 根岸 詩織【長谷川 かすみ】:児童相談所の職員。ひなの担当になる。

  • 葉山 舞香【伊礼 姫奈】:和真たちの住むアパートの大家夫妻の娘。

  • 葉山 茂蔵【三田村 賢二】:和真たちの住むアパートの大家。

  • 葉山 栄子【浅茅 陽子】:和真たちの住むアパートの大家。茂蔵の妻。

  • 相田 さつき【柚希 礼音】:和真の行きつけの居酒屋“さつき”の店主。

  • 東堂 忠宏【津田 寛治】:週刊誌「週刊人間」編集長。温かみのある和真の絵を評価する。

  • 高原 夏海【松下 由樹】:児童相談所の職員。育児放棄していた和真に厳しく接する。

  • 阿久津 洋平【寺脇 康文】:和真の行きつけの居酒屋“さつき”の常連客。

 

娘に無関心で育児を妻に丸投げしていたイラストレーターの主人公が、妻が事故で意識不明の状態となって入院してしまい、児童養護施設に保護されてしまった娘を取り戻そうとする中で、葛藤しながらも、親であることの責任や、喜びを知っていく姿が描かれています。演出などは、より効果的にできる余地があったように思いましたが、親としての責任など、いろいろ考えさせられる作品で、最後のハッピーエンドに救われるような思いがしました。私にとっては行きにくい場所ですが、観に来て良かったです。

主人公を演じた武田航平、娘役の佐藤恋和は好演。大家の娘・舞香役の伊礼姫奈も印象的で、どこかで見たことがあるような気がしながら観ていましたが、後になって、5月に観た「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」でドルオタの主人公の推しの地下アイドル・市井舞菜役で出演していたことを思い出しました。

 

ここから先は思い切りネタバレになりますが、自分の備忘を兼ねて、より詳しいあらすじを紹介します。(多少の記憶違いはあるかもしれません)

 

イラストレーターの和真は、和真の才能を信じる妻と駆け落ち同然で結婚し、今は3歳の娘・ひなと3人で、お節介な夫婦が大家をしているアパートの2階で暮らしている。家で色鉛筆でイラストを描く和真は、昼間は仕事の邪魔をし、夜は夜泣きをするひなを疎ましく感じており、ひなの世話は小百合に丸投げしていた。和真は、描いたイラストを出版社に持ち込んで売り込もうとするが、なかなかいい返事が得られないでいた。

和真の誕生日、小百合に何が食べたいか聞かれた和真は、ハンバーグとケーキと答え、「週刊人間」の編集部に売り込みに行く。対応したスタッフは断ろうとするが、その絵を見た編集長は、その優しいタッチが気に入り、今度刷新する「週刊人間」の表紙用にイラストを描いてほしいと和真に依頼する。

その夜、上機嫌の和真は編集長と飲み歩き、3軒目に自分の行きつけの居酒屋「さつき」に連れていって常連の阿久津たちと飲み、居酒屋でそのまま寝込んでしまう。
一方、家で和真の帰りを待つ小百合は、ケーキを買い忘れていたことに気づき、ひなが寝ていることを確認して、雨の中、ケーキを買いに出かけるが、その帰り、階段で足を滑らせて転倒し、頭を打って意識を失ってしまう。

翌朝、自宅アパートでは、ひなが一人目を覚まし、小百合がいないことに気づいて、「ママー、ママー」と大泣きする。和真が帰ってくると、帰りを待っていた大家夫婦が事情を説明する。ひなが大泣きするのが聞こえて合鍵で部屋に入ったら、小百合がいなかった。警察に電話したら、昨晩小百合が病院に運ばれ、ひなは児童相談所で保護されたという。慌てて病院に駆けつけた和真は、小百合の姿を見て涙する。

児童相談所に行った和真は、高原たちと面会する。高原は、ひなのアレルギーの有無、病歴、トイレトレーニングの有無などを質問するが、育児を小百合任せにしていた和真は何も答えられない。高原は、これまで育児に関わっていなかった和真一人でひなの面倒を見るのは無理と判断し、児童養護施設で保護することを決めるが、和真は、ひなの面倒を見なくて済むという思いから、預かってくれてありがとうございます、とお礼を言う。

一人暮らしとなり、イラストの仕事は捗るようになった和真だが、小百合の意識は戻らない。大家の高校生の娘・舞香は、一人暮らしの和真の食生活を心配する大家の奥さんが作った手料理をときどき届けるようになる。

そんなある日、家に転がっていたひなの玩具を誤って踏みつけてしまい、かっとなって部屋の玩具などをぐちゃぐちゃにして怒りをぶつける和真は、その中に、小百合が作っていたひなの写真をまとめたアルバムを見つける。そのページを開いて見る和真に、小百合が、自分は施設で育ったから、普通の家庭を持ちたいと子どもを産むことを望んだことなど、小百合との日々の思い出がよみがえり、和真は号泣する。

今度こそ本当の父親になろうと決心した和真は、ひなを引き取って小百合の帰りを待ちたいと、児童相談所に行って高原と話をする。高原は、すぐに引き渡すことはできない、児童養護施設での面会、外出、自宅での外泊、と進めていくので1年半はかかると説明し、できますか?と和真に聞き、和真は、できます、と宣言する。

ひなが暮らしている児童養護施設「みおの園」での面会が始まる。最初は、和真を見ても「パパ」とも言わず、ほとんど無視するかのように1人で遊ぶひな、和真も、トイレに行きたくなって声を上げたひなのサインを理解することができず、慌てふためいて助けを求め、近くにいたシングルマザーの佐倉に助けてもらう有様。しかし、頻繁に通ううちに、少しずつ、ひなも和真に打ち解けていく。

一時外出が許されるようになり、和真はひなを連れて近くの公園に行くようになる。近くひなも参加する運動会があると知って、和真はひなのために特訓しようとするが、ひなはそれを嫌がり、強引に滑り台をやらせようとすると泣きわめき、不審がる周囲のママにあやうく警察に通報されそうになる。和真は、時々訪ねてくるようになった大家の娘に小さい頃どう遊んでいたかアドバイスを求めると、娘は、幼いころに両親が亡くなって児童養護施設に預けられ、大家夫婦が養子として引き取ってくれたことを明かす。そうして、一時外出を続けていく中で、次第にペースをつかんでいく。

やってきた「杉の里こども運動会」の日親子で挑戦する競技にひなと和真は出場し、苦手だった滑り台も何とか克服してゴールし、保育士たちや、観戦に来た大家一家などが拍手と歓声を送る。

運動会が終わり、いつものように一時外出で公園で遊ぶひなを見守る和真は、同じく娘を連れて公園に来ていた佐倉の不審な挙動に気が付く。声をかけると、見なかったことにしてください、1年半も面会に来ているのに引き取らせてもらえない、自分の娘なのに・・・と言って、と娘・笑を連れて立ち去っていくが、警察に通報されて娘は再び施設に連れ戻される。佐倉を不憫に思った和真が職員に尋ねると、職員は、児童養護施設に入っている子どもたちにはそれぞれ事情があるが、最も多いのが虐待。親に引き取られて再び虐待されて亡くなったケースもある、と和真に説明する。

高原からそろそろ自宅への外泊を始めようと提案された和真だったが、自分だけでひなの面倒をみられるか自信がない和真は、引き取って育てられる自信がないと本音を漏らす。

アパートに帰り部屋で悶々とする和真を、突然大家一家3人がちらし寿司を片手に訪ねてくる。作り過ぎたと言って、食卓に料理を広げ、自分たちもひなの面倒を見させてもらいたいと話すが、和真は、やめてください、しょせん他人じゃないですか!と声を荒げる。しかし、舞香はもともと大家夫婦は他人だったと話し、困ったら頼ったらいいと話す大家夫婦の言葉に、和真の固く閉ざしていた心は氷解し、涙を流す。

大家の車で送迎してもらって、ひなが初めての自宅外泊を迎える。アパートに入ったひなは、和真がイラストを描いている机に行き、そこにあった色鉛筆で絵を描き始める。和真はその手をそっと握り、色鉛筆の持ち方を教えながら、一緒に絵を描いていく。完成したスケッチは、小百合の顔を描いた絵だった。

ある日、一時外出でひなを公園に遊びに連れてきていた和真は、意を決して、ひなを小百合が入院している病院に連れていく。眠ったままの小百合に抱きつくひな。和真は、自分のせいでママは怪我をして眠っている、と本当のことを伝え、ママが戻ってくるよう一緒にがんばろうと励まし、ひなを抱きしめる。

そして、ひなが自宅に戻る日を迎える。ひなは児童養護施設の子どもたちや職員に見送られ、和真と手をつないで施設を出て家に戻ってくる。それから、和真はたくさんの人に支えられて、何とかひなとの生活を送るようになる。和真のイラストはより一層優しくなっていた。

そして、病室で眠っていた小百合は、目を開ける。花瓶に生けられた花が目に入って、小百合は微笑む。

(なお、エンドロールの後、3人で仲良く手を繋いで家に向かうワンシーンが描かれています)

・・・という感じ。

 

なお、上映終了後、少し時間に余裕があったので、タワーの最上部にある展望室にも行ってみました。


エレベーターで式場とレストランがある7階に上がり、タワー展望室行きのエレベーターに乗り換えます。利用時間は9時から21時半までで、入場料は無料です。


展望室は、高さ103m、エレベーターの周りを一周する通路があるだけのこじんまりとしたものですが、周りにここまで高い建物はないので、見晴らしはとてもいいです。
都心方面を望むと、東京スカイツリーがよく見えます。手前の川は荒川、それに沿って、首都高の中央環状線が走っています。


上の写真からさらに右側に回って、荒川の上流方面を望んだところ。


さらに右側に回って、千葉方面を望んだところ。手前の線路は都営新宿線で、船堀駅を出てすぐに、再び地下に入っていくのがわかります。

小さな展望室だったので、4~5分して一度下に戻って再び上がってきたエレベーターに乗って、下に戻りました。

なお、この展望室は、改修工事のため、今年の8月7日(月)から12月27日(水)まで、利用休止になるそうです。