「四月は君の嘘」の劇中で使われたクラシックの曲を収録した「四月は君の嘘 君と僕の音楽帳」を聴いて、その中で比較的多く収録されているショパンのエチュードのCDをいくつか聴いてみました。

- アーティスト: アシュケナージ(ヴラディーミル),ショパン
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2009/05/20
- メディア: CD
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ヴラディーミル・アシュケナージ(Pf)(録音:1971,72年(1/2)、1981,82年(3)、ロンドン)
ロシア(旧ソ連)生まれですが、今はアイスランド国籍のアシュケナージ。2004~2007年にNHK交響楽団の音楽監督を務めるなど、今や指揮者として名高いですが、もとは弱冠18歳でショパンコンクール第2位に輝き、その後第一人者の1人として世界的に活躍してきた名ピアニスト。DECCAレーベルで数多くの録音を行っており、ショパンについても、CD13枚に及ぶピアノ作品全集を録音しています。これはそのうちの1枚。
弾きにくそうな雰囲気を感じる部分は若干なくもないですが、技術的な綻びを全く感じさせない演奏。といっても、機械的な演奏ということでは全くなく、繊細で抒情的な部分もあれば、鋭く激しい部分もあり、表現に幅がある上に、その隅々まできちんと意志どおりコントロールされているかのような精度の高いタッチは見事。緊張感に迫られるというより、自然に聴ける感じなのは好みが分かれるところなのかもしれませんが、ピアノは素人ですが、自然に聴かせるだけの技術の高さがあって初めて成り立つ演奏のような感じもします。
録音も鮮やかで見事ですが、もう少し奥行きがあるとより余韻が深まった気もします。
ヴァレンティーナ・リシッツァ(Pf)(録音:2014年6月18~21日、ノイマルクト、ライトシュターデル)
ウクライナ生まれ、現在はアメリカ在住のピアニスト。私は知りませんでしたが、YouTubeに投稿した演奏を通じて有名になったのだそうです。
全体で85分近く、CDの容量を目一杯使った収録のためか、曲間の間がほとんどなく進んでいきます。
先のアシュケナージ盤より、表現の振れ幅が大きい演奏。高い技術があるのは当然なのですが、過度に技術的な完成度を求めるより、アグレッシブに攻めた演奏という印象で、これはこれで魅力的。日頃オーケストラ曲を聴くことが多い私には動かしすぎと思う場所もありましたが、ピアノ独奏だとこのくらいは全然普通なのかもしれません。
ショパンのピアノ曲をじっくり聴くのはほぼ初めてですが、「四月は君の嘘」で使われたop.10-12(革命)、op.25-5、op.25-11(木枯らし)以外の曲も、色彩豊かです。それぞれの演奏がどこまで楽譜に忠実でどのくらい個性的なのかは、楽譜がないので分かりませんが、新鮮な感覚でした。
この練習曲集、ブログなどのCD評を見ると、アシュケナージ盤と同じ1970年代初期に録音されたマウリツィオ・ポリーニの演奏を技術的にも完璧な決定盤として挙げる方が多いようです。機会あれば、そちらも聴いてみたいと思いました。