鷺の停車場

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「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」舞台挨拶中継付き上映

先日、家族と「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(9月18日(金)公開)を観に行きました。

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来たのはTOHOシネマズ流山おおたかの森

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この日の上映スケジュール。「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の最初2回の上映は舞台挨拶パブリックビューイング付き上映で、いずれも売り切れになっていました。

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上映は234席のスクリーン2。この日はまだ1席ずつ間隔を開けての販売でしたが、実際に満席のようだったので、120人近くのお客さんが入っていたことになります。

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(ポスタービジュアル)

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(公開前に上映予定館で配布されていた「ライデンシャフトリヒ・タイムス」)

監督:石立太一、脚本:吉田玲子、キャラクターデザイン・総作画監督:高瀬亜貴子、アニメーション制作:京都アニメーションなどテレビアニメ版の主要スタッフによる新作の劇場版。

公式サイトのストーリーによれば、

 

『代筆業に従事する彼女の名は、〈ヴァイオレット・エヴァーガーデン〉。
幼い頃から兵士として戦い、心を育む機会が与えられなかった彼女は、大切な上官〈ギルベルト・ブーゲンビリア〉が残した言葉が理解できなかった。
──心から、愛してる。

人々に深い傷を負わせた戦争が終結して数年。
新しい技術の開発によって生活は変わり、人々は前を向いて進んでいこうとしていた。
しかし、ヴァイオレットはどこかでギルベルトが生きていることを信じ、ただ彼を想う日々を過ごす。
──親愛なるギルベルト少佐。また今日も少佐のことを思い出してしまいました。
ヴァイオレットの強い願いは、静かに夜の闇に溶けていく。

ギルベルトの母親の月命日に、ヴァイオレットは彼の代わりを担うかのように花を手向けていた。
ある日、彼の兄・ディートフリート大佐と鉢合わせる。ディートフリートは、ギルベルトのことはもう忘れるべきだと訴えるが、ヴァイオレットはまっすぐ答えるだけだった。「忘れることは、できません」と。 

そんな折、ヴァイオレットへ依頼の電話がかかってくる。依頼人はユリスという少年。一方、郵便社の倉庫で一通の宛先不明の手紙が見つかり……。』

 

というあらすじ。

 

本編が始まると、テレビアニメ版の第10話で描かれた少女アン・マグノリアが長い年月を経て亡くなり、その家で孫のデイジー諸星すみれ】とその両親の娘夫婦【宮本充篠原恵美】が葬儀を終えた後のシーンから始まります。仕事のため両親が戻っている間、デイジーはアンが大切に保存していた母クラーラ【川澄綾子】からの手紙を読み、テレビアニメ版第10話の終盤の回想シーンが挿入されます。テレビアニメ版を見ていれば、ここで涙する人も多いと思います。そして、アンが保存していたヴァイオレット・エヴァーガーデン石川由依】の新聞記事を見つけたデイジーは、ヴァイオレットの足跡をたどろうとライデンシャフトリヒに向かいます。このデイジーのストーリーは絵画でいう額縁のような役割を果たしています。

次いで、愛するギルベルト少佐【浪川大輔】に再び会いたいと願うヴァイオレットの思いが、その兄・ディートフリート大佐【木内秀信】との関わり、郵便社の社長・ホッジンズ【子安武人】やカトレア【遠藤綾】、エリカ【茅原実里】ベネディクト【内山昻輝】など仕事仲間とのやり取りを交えて描かれます。これが物語の中心となります。

そして、病気で入院するユリス【水橋かおり】から仕事の依頼の電話を受けたヴァイオレットは、自分が死んだ後に両親【遠藤大智八十川真由野】と幼い弟【松元恵】に渡す手紙を書きたいというユリスの気持ちを受け止め、手紙を書き上げる。これが物語のもう1つの柱になっています。テレビアニメ版や昨年の「外伝」では、ヴァイオレットが代筆に行った先での依頼者たちとの交流や手紙を通して依頼者や手紙の受取人の心を融かしていくというのが、見る人の心を打つ大きなポイントになっていました。本作でも、この部分は涙なしでは見れないエピソードになっていました。

そして終盤になって、ヴァイオレットとギルベルトの関係に大きな動きがあって、最後は観る人の多くが期待したであろうハッピーエンドにたどり着きます。

相変わらず、繊細な画の美しさは特筆モノです。背景の描写などは、昨年の「外伝」などと比べるとCGを多用している印象があって、昨年の痛ましい放火事件によるスタッフ喪失の影響もあったのかなと思ったりもしましたが、京都アニメーションならではの美しい画には圧倒されました。

ちょっと残念だったのは、ハッピーエンドにたどり着く部分の描写。いい話ではあることは確かで、クライマックスを盛り上げようとする意図はよく感じ取れましたが、個人的にはかえって醒めてしまうところがあって、あまり響きませんでした。原作の完結編「ヴァイオレット・エヴァーガーデン エバー・アフター」とは異なる完全なオリジナルストーリーだったことも引っ掛かった一因だったのかもしれません。

昨年の「外伝」ほどの感銘はありませんでしたが、それでも、本編140分という長さを感じさせないいい作品になっていました。

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上映終了後、5分ほどのインターバルの後、画面が舞台挨拶会場の新宿ピカデリーからの中継に切り替わります。

司会の案内で、ヴァイオレット・エヴァーガーデン役の石川由依、ギルベルト・ブーゲンビリア役の浪川大輔、主題歌のTRUE、石立太一監督の4人が登壇。詳述は控えますが、司会からの質問に答える形で、公開を迎えての感想、こだわりのシーンなどのコメントを聞くことができました。何より、最初の石立監督のコメントが印象的で、言葉には出されませんでしたが、昨年の痛ましい事件を乗り越えて完成に至るまでには、いろいろな御苦労があったのだろうと拝察するコメントに、涙腺が緩みました。