鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

アニメ映画「かがみの孤城」

年末も押し迫った平日の午後、MOVIX柏の葉に行きました。


時間は16時ちょっと前の時間帯、ロビーにはちらほらお客さんがいました。


この日の上映スケジュールの一部。既に上映が終了したものを含めると計22作品・25種類の上映が行われていました。


この日観るのは「かがみの孤城」(12月23日(金)公開)。全国300館以上と大規模な公開。


劇場ロビーには大きなタペストリーが飾られていました。


上映は292+2席のシアター9。お客さんは3~40人という感じでした。

松竹配給作品とあって、本作とタイアップしたマナーのお願いが流れた後、本編が始まりました。


チラシの表裏。


以前に配布されていた別バージョンのチラシ。

2018年に本屋大賞を受賞した辻村深月さんの同名小説を原作にアニメ映画化した作品で、監督:原恵一、脚本:丸尾みほ、キャラクターデザイン・総作画監督:佐々木啓悟、アニメーション制作:A-1 Picturesなどの主要スタッフ。原恵一監督作品は、DVDで観た「河童のクゥと夏休み」(2007年)、「カラフル」(2010年)、スクリーンで観た「バースデー・ワンダーランド」(2019年)に続く4本目、辻村深月原作作品ということでは、「朝が来る」(2020年)、「ハケンアニメ!」(2022年)に続く3本目ですが、アニメ作品では初めてです。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

そこは、私の世界を変える入り口でした―

学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生・こころ。
ある日突然部屋の鏡が光り出し、吸い込まれるように中に入ると、そこにはおとぎ話に出てくるようなお城と見ず知らずの中学生6人が。
さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。
期限は約1年間。
戸惑いつつも鍵を探しながら共に過ごすうち、7人には一つの共通点があることがわかる。
互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。
そしてお城が7人にとって特別な居場所に変わり始めた頃、ある出来事が彼らを襲う――――
果たして鍵は見つかるのか?
なぜこの7人が集められたのか?
それぞれが胸に秘めた〈人に言えない願い〉とは?
全ての謎が明らかになるとき、想像を超える奇跡が待ち受ける―

きっと、助け合える。私たちは、ひとりじゃない。

 

・・・というあらすじ。

公式サイトで紹介されている主な登場人物は、次のとおりです。

 

  • こころ(安西 こころ)【當真 あみ】:中学1年。引っ込み思案で大人しい性格。学校での居場所をなくし、家に閉じこもるようになる。

  • リオン(水守 理音)【北村 匠海】:中学1年。サッカーが得意で、誰にでもフラットに接する爽やかな少年。

  • アキ(井上 晶子)【吉柳 咲良】:中学3年。しっかり者で、皆のお姉さん的な存在。

  • スバル(長久 昴)【板垣 李光人】:中学3年。飄々とした、どこか浮世離れした雰囲気の少年。

  • フウカ(長谷川 風歌)【横溝 菜帆】:中学2年。幼少時から生活の全てをピアノに費やす眼鏡女子。

  • マサムネ(政宗 青澄)【高山 みなみ】:中学2年。皮肉屋でゲーム好き。

  • ウレシノ(嬉野 遥)【梶 裕貴】:中学1年。恋愛気質で惚れっぽく、マイペース。

  • こころの母【麻生 久美子】:こころの本心が分からず悩みながらも、温かく寄り添う。

  • オオカミさま【芦田 愛菜】:鏡の中の城に7人を招き入れる。オオカミのお面を被った謎の少女。

  • 喜多嶋先生【宮﨑 あおい】:こころを優しく見守るフリースクールの先生。

という感じ(中学生たちの本名は加筆しました)。そのほかの主要な登場人物としては、

  • 東條 萌【池端 杏慈】:こころが通うクラスにやってきた転校生、こころと家が近く、すぐ仲良くなる。こころが不登校となってからは、学校からの連絡をこころの家に届けてくれている。

  • 真田 美織【吉村 文香】:こころと同じクラスの女の子。周囲によく思われようとうまく立ち回る一方、こころには敵意をもって接し、こころの不登校の原因となる。

  • 伊田先生【藤森 慎吾】:こころのクラスの担任教師。真田のうまい立ち回りに騙されて、真実が見えていない。

  • リオンの姉【美山 加恋】:リオンの大好きだった姉だったが、リオンの少年時代に病気で亡くなった。

というあたり。なお、リオンの少年時代は矢島晶子さんが演じています。

 

ネタバレになりますが、もう少し詳しめにあらすじを記すと、

同級生の真田のせいで不登校となり、母の勧めで行ったフリースクールにも通うことができない主人公のこころ。5月のある日、突然自室の姿見が光り輝き出し、鏡に触れると、鏡の中に引き込まれる。その先は、海の中にポツンと建つ古城で、「オオカミさま」と名乗る不思議な少女は、こころを古城の中に入れ、他の6人と引き合わせる。9時から17時までの間は自由に来ることができるが、17時を過ぎるとオオカミに食べられてしまう城で、3月までの間に鍵を見つければ、1つだけどんな願いも叶うという。最初は城に行くことができなかったこころだったが、次第に他の6人と仲良くなっていき、大切な存在になっていく。7人は協力して鍵を探すが、鍵は見つからない。そして、城で過ごすことができる最後の日、アキが17時を過ぎても帰らず、城に来ていたこころ以外の6人は、オオカミに食べられてしまう。転校することになった萌が持っていたある絵を見て、鍵を見つけるヒントを得たこころは、城に向かう・・・

というもの。

 

こころをはじめそれぞれ事情を抱えて学校に行くことができない中学生たちがメインなので、重たい部分もあり、同様の過去を抱えた人などには観ていて辛い部分もあると思いますが、現実と城を行き来する中で少しずつ明らかになる他の仲間たちの過去もうまく描かれ、後半になって、伏線が見事に回収されていく展開は見事で、感動すると同時に、謎がスッと解けていく爽快感もありました。原作はかなり分量のある小説のようで、駆け足気味の印象もありましたが、全体的にはうまくまとめられた優れた作品でした。

映画情報サイトの口コミ評価をみると、原作から省略されている部分も多いようですので、ぜひ原作小説も読んでみようと思いました。