鷺の停車場

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映画「17歳は止まらない」トークショー付き上映

平日の仕事帰り、新宿駅前のシネマカリテに行きました。


新宿に来たのは2か月半ぶり。相変わらずの賑わいです。


シネマカリテに来るのは、3月に「少女は卒業しない」を観に来て以来なので、約5か月ぶりです。


この日の上映スケジュール。


観に来たのは「17歳は止まらない」(8月4日(木)公開)。


映画館に下りる階段にも、展示がありました。


ロビーには、記事などの紹介と、作品を観た方のメッセージが貼られたパネルが展示されていました。


上映は96席のスクリーン1。スクリーンがやや真ん中からズレているちょっと珍しい形です。この日は、上映後にトークショーが行われることもあって、一番前の列は開けられていましたが、その他の席は完売になったようですので、80人以上は入っていたと思います。


(チラシの表裏)

「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」で309本の応募シナリオの中から、「神回」(7月21日(金)公開・中村貴一朗監督)とともに第1回製作作品に選ばれた作品で、監督・脚本は北村美幸。「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」HPでの紹介によれば、1963年生まれ、1993年にAV 制作会社に入社して以降、約20年間主にアダルトビデオの製作・監督に携わってきた方で、しばらく映像に関する仕事から離れていたが、初心に立ち返って本シナリオを応募されたのだそうです。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

“女子高生×畜産”
感受性豊かな等身大の17歳の成長物語
 瑠璃(池田朱那)は農業高校で畜産を学ぶ二年生。母ひとり子ひとりの家庭で育った瑠璃は動物の世話で忙しい学校生活と家計を助けるためのアルバイトを両立させながら、モモ(片田陽依)、彩菜(白石優愛)、くるみ(大熊杏優)らクラスメイトと家畜たちから「命をいただく」という尊さを学んでいる。
ある日、瑠璃はモモと近隣の高校の文化祭へ遊びに行き、同い年のマサル(青山凱)を紹介される。瑠璃に一目惚れしたマサルは後日猛アタックをかけるが、農業高校教師の森(中島歩)に想いを寄せている瑠璃はそっけない。森への情熱を募らせた瑠璃はある日、森の家へ押しかけて強引に思いを伝えようとするが・・・。

 

というあらすじ。

 

主な登場人物は、

  • 瑠璃【池田 朱那】:主人公。農業高校で畜産を学ぶ高校2年生の17歳で、素直で明るい女の子。姓は木村。

  • モモ【片田 陽依】:瑠璃の親友。

  • 彩菜【白石 優愛】:瑠璃のクラスメイト。

  • くるみ【大熊 杏優】:瑠璃のクラスメイト。瑠璃と同じく森に好意を抱いている。

  • 森【中島 歩】:瑠璃が恋する農業高校の教師。

  • マサル【青山 凱】:近隣の高校(西高)に通う瑠璃と同い年の男の子。瑠璃に一目惚れして猛アタックをかける。姓は田中。

  • ユキ【中澤 実子】:女子力が高く魅力的な農業高校の先輩。茶道部。姓は伊藤。

  • 山本【ジョカベル美羽】:瑠璃たちのクラス担任の女性教師。

というあたり。そのほかに、役名不詳ながら、公表されている出演者に、三好紗椰(御自身のSNSによれば、ほのか役とのこと)、安部夏音がいます。

 

序盤は自分には相性の悪い映画かなと思いましたが、後半は引き込まれる展開で、予想外に面白かった。何より、17歳の女子高生・瑠璃の恋の無茶苦茶(暴走?)ぶりが突き抜けています。瑠璃のマサルへのツンと森先生へのデレの振れ幅が大きく、周囲から笑い声が上がるシーンもありました。一方、そのメインストーリーの合間には、牛の出産、鶏の屠殺など、動物たちの生と死のシーンが挿入されて、命をいただく尊さ、という要素も織り込まれて、突き抜けた恋の暴走っぷりがうまい具合に中和されて、バランスの良い作品に仕上がっていたと思います。

 

以下は思い切りネタバレになりますが、自分の備忘を兼ねて、記憶の範囲で、もう少し詳しくあらすじを記してみます。

 

農業高校で畜産を学ぶ瑠璃は、仲良し4人組のモモ、彩菜、くるみとともに、自分が育てる鶏のヒナを選んで可愛がる。

学校の帰り道、待ち伏せしていたマサルに声を掛けられる。モモに連れられて行った近隣の進学校・西高の文化祭で紹介された男子生徒の1人で、同世代の男子に興味を持てない瑠璃は覚えていなかったが、マサルは瑠璃に一目惚れしていた。熱心に話しかけてくるマサルに、坊主頭でないと興味が持てないと毒を吐いて、瑠璃はマサルを振り払って帰る。

モモの執拗なお願いで、瑠璃は嫌々ながらマサルと2人で会うが、「いただきます」も言わずにたこ焼きを食べ始めたマサルに毒を吐く。

瑠璃は母親と2人暮らしで経済的に余裕がなく、自分もコンビニでバイトをしていた。母親が彼氏の家に行って不在にする土曜日、瑠璃は、モモ、彩菜と自分の家で集まり、ハンバーグを作って一緒に夕食を食べるが、お酒に興味がある瑠璃のためにモモが持ってきた梅酒をほぼ1人で飲み干して酔っ払い、恋する森先生への思いを熱く語る。彩菜も告白するよう瑠璃を煽り、その日学校で宿直をしている森先生に告白しようと、モモと彩菜を無理やり連れて学校に向かう。彩菜はもう夜遅いから、と途中で逃げ出し、モモは冷静になるよう諭すが、聞く耳を持たない瑠璃に呆れて帰っていく。瑠璃は学校の門の呼鈴を鳴らし、森先生が出てくるが、瑠璃は先生と話がしたかったと嬉しそうに言い、告白はせずに帰る。

一方、マサルは、瑠璃の気を引こうと、飼い犬のミントコーギーを連れて瑠璃を待ち伏せするようになる。自分たちが育てた鶏を屠殺すると聞いたマサルは、残酷だと言うが、瑠璃はペットと家畜は違う、見えないだけで自分たちが食べている肉は誰かが育て、殺していると激昂して帰っていく。

そして、育ててきたヒナが成長した鶏となり、学校で屠殺の授業が行われる。瑠璃はモモと2人1組になって、顔をそむけたくたくなるのを耐えて、自分たちが愛情をもって育ててきた鶏の首の骨を折って切断し、血を抜いてからお湯に浸けて羽根を落とし、自分たちで食べられるように捌く。その帰り、ミントを連れて待ち伏せするマサルに、瑠璃は自分が捌いた鶏肉を突きつける。

くるみから森先生に相談に乗ってもらったと聞いて嫉妬に駆られた瑠璃は、森先生に相談があると話しかけるが、森先生はまずは担任の山本先生に相談するように、とそっけない反応をされ、自分に自信が持てなくなり、焦ってくる。

バイト帰りに偶然森先生のアパートを見つけた瑠璃は、誕生日の10月14日、しっかり化粧をして、雨の中森先生のアパートを訪ね、相談があると話すが、強引に部屋に入ろうとする瑠璃を警戒する森先生は、部屋に入れることはできない、車で送ってあげるから相談は車内で聞くと言ってなだめ、瑠璃を車で送る。車内で瑠璃は森先生が好きであることを告白するが、森先生は、付き合っている人がいる、と言って瑠璃の告白を拒む。

諦めきれない瑠璃は、母親への言い訳に協力してほしいと言って森先生を家に引き入れる。母親が帰ってこないと知った森先生は帰ろうとするが、瑠璃は森先生を強引に止めようとすると、森先生は転んで倒れてしまう。瑠璃のあまりの強引さに笑うしかない森先生に、誕生日を一人で過ごすのは寂しい、プレゼントがほしいと言って、瑠璃はキスをする。森先生は、後悔するぞ、と言いつつも、瑠璃の求めに応じてその背中に手を回す。

しかし、それから、森先生は学校に来なくなり、担任の山本先生に聞いてもごまかすような曖昧な答えしか返ってこない。ユキ先輩も同じく学校を休んでいることがわかり、2人が駆け落ちしたのではないかと噂になる。さらにしばらくして、森先生とユキ先輩が付き合っていて、ユキ先輩が妊娠したことで保護者が学校にクレームをつけているという情報が入る。ついに、保護者説明会が開かれることになり、その情報が本当であることがわかる。そして、瑠璃はくるみから、くるみが森先生にキスされたと聞く。

傷心の瑠璃は、久しぶりに会ったマサルと一緒に帰る。電車の中で、マサルに駆け落ちが起きたことについて聞かれた瑠璃は、その情報をもう知っていることに呆れ、童貞にはわからないのよ、とあけすけに下劣な言葉で毒を吐く。

なおも瑠璃を諦めないマサルに、瑠璃は、家出を考えていることを話し、何もかも捨てて一緒に来る覚悟はある?と迫る。ついて来るなら、私も覚悟を見せてあげると歩き出す瑠璃に、マサルは迷いながらも覚悟を決めてその後を追う。自宅のアパートの玄関前まで来ると、部屋に明かりがついていた。母親はいつも土曜日は彼氏に会いに行くから不在なのに、と言い訳をし、駆け落ちは延期、とマサルを帰させる。マサルが去った後、瑠璃は、隣の明かりがついていない方の玄関の鍵を開けて部屋に入り、自分の部屋の床に体を投げ出して笑みを浮かべる。

そして、平常の日々が戻ってきた学校。かつてユキが熱心に育てていた仔牛・コタローが大きくなり、出荷の日を迎える。瑠璃たちは、トラックに乗せられるコタローに温かく声を掛け、トラックを送り出す。

マサルと2人で会った瑠璃は、「いただきます」と言って、マサルに買ってきてもらったハンバーガーを頬張るのだった。

・・・という感じ。(多少の記憶違いはあるだろうと思います)

 

さて、上映終了後、北村美幸監督、主人公・瑠璃を演じた池田朱那さん、瑠璃に猛アタックするマサルを演じた青山凱さんの3人が登壇してのトークショー

トークショー終了後のフォトセッションのときの写真)

上映終了「後」のトークショーはこれが初めてなのだそうです。

北村監督は、緊張でかなりガチガチになっているように見受けられましたが、瑠璃は、このシーンはこの人、この人はあの人、という感じで、モデルとなっている女性が複数いるそうですが、男性は、マモルは陽、森は陰で自分の分身のようなもの、撮影に入って池田さんの演技を見て、これに乗っていけばいいと思った、といったお話、池田さんからは、劇中で出てくる犬はテストでも全然走らなかったが、本番になったら走り回ってくれ、俳優魂がすごい犬だと思った、森先生のアパートに行ったシーンの撮影で、中島さんが森先生のだらしなさを出すためにメガネにわざわざ自分の指紋を付けたことに感心した、といった話など、25分間ほど、ネタバレを含め、貴重なお話が伺えうことができました。


なお、上映終了後にロビーに掲示されていたポスターを見ると、公開初日の舞台挨拶に登壇された方に加え、この日初めて登壇された青山さんのサインも追加されていました。