3月14日に行われたJR東日本のダイヤ改正に合わせて、東日本大震災とそれによる福島第一原発事故の影響により一部区間が不通となっていた常磐線が約9年ぶりに全線復旧しました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災で、常磐線の全線で不通となりました。上野駅から茨城県取手市の取手駅までの39.6kmの区間は翌日に運転を再開しましたが、取手駅より北の区間は、震災による被害から、順次復旧が進められる形になりました。
- 3月18日:取手駅から茨城県土浦市の土浦駅までの26.4km
- 3月31日:土浦駅から茨城県ひたちなか市の勝田駅までの57.3km
- 4月7日:勝田駅から茨城県高萩市の高萩駅までの41.4km
- 4月11日:高萩駅から福島県いわき市のいわき駅までの46.9km
- 4月12日:宮城県亘理町の亘理駅から宮城県岩沼市の岩沼駅までの8.5km(実質的には仙台駅までの26.1km)
- 4月17日:いわき駅からいわき市の四ツ倉駅までの9.8km
- 5月14日:四ツ倉駅から同市の久ノ浜駅までの4.8km
- 10月10日:久ノ浜駅から福島県広野町の広野駅までの8.4km
- 12月21日:福島県南相馬市の原ノ町駅から同県相馬市の相馬駅までの20.1km
の区間が順次復旧していきましたが、津波による施設・設備の破壊や、原発事故による放射能汚染の影響により、広野駅から原ノ町駅までの54.5kmの区間と、相馬駅から亘理駅までの28.2kmの区間が不通のまま残っていました。
相馬駅から北の不通区間は、2013年3月16日に亘理町の浜吉田駅から亘理駅までの5.0kmの区間が復旧した後、2016年12月10日に残る相馬駅から浜吉田駅の23.2kmの区間が復旧して解消されましたが、原ノ町駅から南の福島県内の不通区間は、原発事故による放射能の影響から、復旧が長引いていました。
2014年6月1日に広野駅から福島県楢葉町の竜田駅までの8.5kmの区間が、2016年12月21日に南相馬市の小高駅から原ノ町駅までの9.4kmの区間が、2017年4月1日に同県浪江町の浪江駅から小高駅までの8.9kmの区間が、同年10月21日に竜田駅から同県富岡町の富岡駅までの6.9kmの区間が復旧しましたが、今回復旧した富岡駅から浪江駅までの20.8kmの区間は、放射能の影響で大半が帰還困難区域や居住制限区域となり、施設・設備の修復だけでなく、除染も必要であったことから、復旧まで9年を要したということのようです。
今回復旧した富岡~浪江間では、上り・下りとも、普通列車が11本、特急ひたちが3本の計14本の電車が走っています。震災前と比べると、およそ3分の2ほどの本数のようです。特急ひたちは仙台~品川を結んでいますが、上野まで約4時間半かかります。東北新幹線は最速のつばさだと約1時間半ですから、約3倍の時間がかかる常磐線経由で全区間乗車する人はほとんどいないでしょう。という私は、10年以上前の震災前、料金の安さにひかれて一度仙台から当時のスーパーひたちに乗ったことがありますが・・・。
常磐自動車道も全線が開通しており、常磐線の実際の需要はそれほどはないような気もしますが、通学路線のほか、東北本線が不通となった場合の代替路線という役割もあり、また、復興の象徴的な意味は大きいのかもしれません。これが復興の後押しになればと思います。